問280-281
26歳女性。身長155cm、体重42kg。
アレルギー性鼻炎に対して処方1の薬剤を服用している。
今回、下血があり外来受診したところ、潰瘍性大腸炎(直腸炎型)の診断を受けた。
なお、重症度分類では軽症であった。
医師は、患者からこれまで薬を飲み忘れることが多かったとの訴えがあったため、メサラジンの処方にあたり、本患者に適切な製剤について、医薬品情報管理室に問い合わせた。
薬剤師は、アドヒアランスを考慮して処方2を提案した。
(処方1)
ロラタジン錠10mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回夕食後 14日分
(処方2)
リアルダ錠1200mg(注) 1回2錠(1日2錠)
1日1回夕食後 14日分
(注) 1錠中にメサラジン1200mgを含有する。また、以下の添加剤を含有する。
〔添加剤〕 カルメロースナトリウム、カルナウバロウ、ステアリン酸、含水二酸化ケイ素、デンプングリコール酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーS、クエン酸トリエチル、酸化チタン、三二酸化鉄、マクロゴール6000
問280(実務)
処方2を提案するにあたり、医師に説明する内容のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.メサラジン注腸剤と併用しない。
2.処方2の薬物のTDMを行う。
3.再生不良性貧血を起こすことがある。
4.粉砕して投与可能である。
5.定期的に大腸がん検査を行う。
問280の解説
1.「×」リアルダⓇの有効成分は、メサラジンです。
リアルダⓇをメサラジン注腸剤または坐剤と併用する場合は、メサラジンの総投与量を考慮することが大切です。
リアルダⓇの成人に対する用法・用量は、メサラジンとして1日1回2,400mgを食後経口投与。
潰瘍性大腸炎の活動期は、1日1回4,800mgを食後経口投与。
2.「×」リアルダⓇはTDMの対象薬剤ではありません。
3.「〇」リアルダⓇの投与期間中は、再生不良性貧血・汎血球減少症・無顆粒球症・白血球減少症・好中球減少症・血小板減少症が現れることがあるので、血液検査を行い、患者の状態を十分に観察することとされています。
4.「×」リアルダⓇは、放出制御製剤(徐放性製剤)であるので、粉砕不可。
かまずに服用することを患者さんに伝えます。
5.「〇」潰瘍性大腸炎のような慢性炎症の期間が長くなると、がんのリスクが高くなるため、定期的な検査を行うとよいです。
問280の解答:3と5
問281(薬剤)
処方2の製剤投与後の薬物動態を把握するため、添付文書を確認したところ、健康成人における空腹時経口単回投与時の24時間までの平均血漿中未変化体薬物濃度の時間推移は下図のようであった。
108-280
処方2の製剤の添加剤のうち、本剤投与後、図中Aに示された血漿中薬物濃度の推移が観察されることと最も関連の深いのはどれか。1つ選べ。
1.カルメロースナトリウム
2.カルナウバロウ
3.ステアリン酸マグネシウム
4.メタクリル酸コポリマーS
5.マクロゴール6000
図より、投与後3時間程度までは、血漿中の未変化体濃度がゼロと読めます。
つまり、リアルダⓇの有効成分(メサラジン)が、服用後、直ぐには体内に吸収されないことを示しています。
このことから、放出制御製剤(徐放性製剤)の添加剤を選択します。
固形製剤に用いる添加剤
賦形剤 | 乳糖・白糖・バイレイショデンプン・結晶セルロースなど |
結合剤 | カルメロースNa・ヒプロメロース・
ヒドロキシプロピルセルロース・ポビドンなど |
崩壊剤 | カルメロースCa・クロスカルメロースNa・
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなど |
滑沢剤 | ステアリン酸Mg・ステアリン酸Ca・タルク・
マクロゴール・カルナウバロウなど |
胃溶性
コーティング剤 |
ヒドロキシプロピルセルロース
ヒプロメロースなど |
腸溶性
コーティング剤 |
メタクリル酸コポリマー
セラセフェート ヒプロメロースフタル酸エステルなど |
徐放性
コーティング剤 |
エチルセルロースなど |
1.「×」カルメロースナトリウム:結合剤
2.「×」カルナウバロウ:滑沢剤
3.「×」ステアリン酸マグネシウム:滑沢剤
4.「〇」メタクリル酸コポリマーS:腸溶性コーティング剤
5.「×」マクロゴール6000:滑沢剤