問248-249
70歳男性。肺がんによる疼痛があり、以下の処方により、在宅で緩和ケアを行っている。
本日、薬剤師が患者宅を訪問し、薬学的管理指導を実施した。
(処方1)
オキシコドン徐放錠10mg 1回1錠(1日2錠)
1日2回 12時間毎に服用 14日分
(処方2)
オキシコドン塩酸塩水和物散5mg 1回1包
痛いとき 20回分(20包)
(処方3)
ナルデメジントシル酸塩錠0.2mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 14日分
患者に痛みに関する聞き取りを行ったところ、「痛みのコントロールは良好だったが、3日前から同じ時間帯に突然強い痛みが繰り返し起こるようになった」との情報を得た。突然の痛みの頻度を患者に尋ねたところ、「次回のオキシコドン徐放錠を服用する2時間前に痛みが出始めることが多く、オキシコドン塩酸塩水和物散の服用回数が5回以上になっている」と情報を得た。なお、処方薬による副作用の症状は出ていない。
薬剤師は、医師に連絡し処方変更の協議を行った。提案すべき内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1.オキシコドン塩酸塩水和物散を増量する。
2.オキシコドン徐放錠を増量する。
3.オキシコドン徐放錠からトラマドール徐放錠へ処方変更する。
4.ナルデメジントシル酸塩錠を減量する。
5.突出痛の再確認のため、さらに3日間同量で様子を見る。
問248の解説
設問より、①次回のオキシコドン徐放錠を服用する2時間前に痛みが出始めている。②オキシコドンによる副作用は出ていない。
①・②より、オキシコドン徐放錠(オピオイド)を服用していても、がん性疼痛(持続痛)が24時間緩和されず、オキシコドンによる副作用は出ていないので、定期薬(オキシコドン徐放錠)の服用量の増量を検討します。
1.「×」突出痛が緩和されていない場合は、レスキュー薬(オキシコドン塩酸塩水和物散)の投与を考えます。
2.「〇」上記参照
3.「×」オキシコドン(オキシコンチンTR®:強オピオイド)から、トラマドール(トラマール:弱オピオイド)へ変更したら痛みが増悪します。
4.「×」ナルデメジン(スインプロイク®)は、経口末梢性μオピオイド受容体拮抗薬で、オピオイド誘発性便秘症に用いられるので、減量しても痛みが改善しません。
5.「×」痛みを訴えているので、何か対処をしましょう。
補足Ⅰ
鎮痛薬使用の4原則
①経口投与 ②時間を決めて規則正しく ③患者ごとの個別な量 ④細かい配慮
補足Ⅱ
持続痛が緩和されていない場合で、オピオイドによる副作用が出ている場合は、副作用の対処とオピオイドスイッチング・オピオイドローテーションを考慮します。
(※オピオイドスイッチング:オピオイドの副作用により鎮痛効果を得るだけのオピオイドを投与できない時や、鎮痛効果が不十分な時に、投与中のオピオイドから他のオピオイドに変更すること。 オピオイドの投与経路の変更を含む場合がある)
問248の解答:2
問249(薬理)
処方されたいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.電位依存性Ca2+チャネルのα2δサブユニットに結合することで、興奮性神経伝達物質の過剰な放出を抑制する。
2.オピオイドμ受容体を刺激することで、痛みの上位中枢への伝達を抑制する。
3.脊髄後角におけるセロトニン及びノルアドレナリンの神経終末への再取り込みを阻害することで、下行性疼痛抑制系を活性化する。
4.腸管に存在するオピオイドμ受容体遮断することで、蠕動運動の低下を防ぐ。
5.腸上皮に存在するCl‐チャネル(ClC-2)を活性化することで、腸管内への水分分泌を促進する。
1.「×」プレガバリン(リリカ®)・ミロガバリン(タリージェ®)・ガバペンチン(ガバペン®)についての記載です。
2.「〇」オキシコドン(オキシコンチンTR®)についての記載です。
3.「×」デュロキセチン(サインバルタ®)についての記載です。
4.「〇」ナルデメジン(スインプロイク®)についての記載です。
5.「×」ルビプロストン(アミティーザ®)についての記載です。