問256-257
30歳女性。気管支喘息治療のため、処方1及び2の製剤を継続使用している。
(処方1)テリルジー100エリプタ 30吸入用(注) 1個1回1吸入 1日1回 朝吸入
(注:1吸入でフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg、ウメクリジニウムとして
62.5μg及びビランテロールとして25μgを吸入できるドライパウダー吸入剤)
(処方2)
サルブタモール硫酸塩エアゾール100μg 1本
発作時 1回2吸入 1日4回まで
来局時、薬剤師は患者に対し最近気になることはないか尋ねたところ、次の回答を得た。
患者:「今まで発作は月1~2回程度でしたが、最近、頻度が多くなっています。発作が出てしまう原因はわからないのでしょうか。」
(薬歴に記載された前回来局時までの患者情報)
事務職。仕事はほぼ定時だが、月に1回程度は残業がある。ダイエットを心掛けているが、仕事中につい間食をし、ジュースを飲んでしまう。性格はまじめで、ストレスを溜めやすい。
問256(実務)
薬剤師は、生活環境の中に発作の原因がある可能性を考えた。患者から聞き取り収集する情報として、重要性の最も低いのはどれか。1つ選べ。
1.最近、残業が増えているか。
2.現在、痛み止めを服用しているか。
3.グレープフルーツジュースを飲んでいるか。
4.犬や猫などのペットを飼育しているか。
5.風邪の症状など体調不良が長引いているか。
問256の解説
気管支喘息が悪化する要因として以下が考えられる。
- ストレス
- NSAIDsの服用
- アレルゲン
- 呼吸器感染症
- 喫煙
2.「×」NSAIDsの服用により、気管支喘息が悪化する可能性がある。
3.「〇」グレープフルーツジュースは、CYP3A(薬物代謝酵素)の働きを阻害する成分が含まれているため、薬の血中濃度が上昇し副作用がでることがあるが、設問より喘息発作が増えているので、今回の事例では重要性が低いと考えられる。
4.「×」犬や猫などのペットの毛により、気管支喘息が悪化する可能性がある。
5.「×」呼吸器感染症により、気管支喘息が悪化する可能性がある。
問256の解答:3
問257(薬理)
患者への聞き取りの結果、生活環境が発作に関与している可能性は低いと考えられたため、処方1と作用機序が異なる長期管理薬の追加を処方医に提案することとなった。
提案する薬物の作用機序として、適切なのはどれか。1つ選べ。
1.アセチルコリンM3受容体の遮断
2.アドレナリンβ2受容体の刺激
3.グルココルチコイド受容体の刺激
4.ロイコトリエンCysLT1受容体の遮断
5.アデノシンA1受容体の刺激
気管支喘息の長期管理薬として使用する薬剤は、吸入ステロイド・吸入β2刺激薬・吸入抗コリン薬・ロイコトリエン受容体拮抗薬・テオフィリン製剤・抗IgE抗体・経口ステロイドがある。
テリルジーは、3剤の配合剤
- フルチカゾン:グルココルチコイド受容体刺激薬
- ウメクリジニウム(エンクラッセ®):抗コリン薬
- ビランテロール:β2受容体刺激薬
設問より、「処方1と作用機序が異なる長期管理薬の追加を処方医に提案することとなった」とあるので、ロイコトリエン受容体拮抗薬を選択肢から選ぶ。
1.「×」アセチルコリンM3受容体の遮断薬は、すでにテリルジーに配合されている。
2.「×」アドレナリンβ2受容体の刺激薬は、すでにテリルジーに配合されている。
3.「×」グルココルチコイド受容体の刺激薬は、すでにテリルジーに配合されている。
4.「〇」ロイコトリエンCysLT1受容体の遮断薬を提案する。
5.「×」アデノシンA1受容体の刺激