問160(薬理)
高血圧症に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.メチルドパは、延髄の血管運動中枢及び交感神経終末のアドレナリンα2受容体を遮断することで、交感神経活動を抑制する。
2.ラベタロールは、アドレナリンα1受容体及びβ1受容体を遮断することで、血圧を低下させる。
3.テルミサルタンは、傍糸球体細胞のアンジオテンシンⅡ(AT1)受容体を遮断することで、レニン分泌を抑制する。
4.リシノプリルは、アンジオテンシンⅡの生成を抑制し、副腎皮質からのアルドステロン分泌を低下させるため、低カリウム血症を引き起こしやすい。
5.ジルチアゼムは、心臓の電位依存性L型Ca2+チャネルを遮断するため、房室ブロックを誘発しやすい。
問160の解説
1.「×」メチルドパ(アルドメットⓇ)は、α2受容体を刺激することで、交感神経活動を抑制します。
2.「〇」ラベタロール(トランデートⓇ)は、α1・β1受容体遮断薬で、血圧低下作用を示します。(α・β受容体遮断作用の強度比=1:3)
3.「×」テルミサルタン(ミカルディスⓇ)は、AT1受容体拮抗薬(ARB)です。
ACE阻害薬やARBを服用すると、血圧が下がるので、ネガティブ・フィードバック作用が減弱します。
そのため、アンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンⅠに変換する酵素であるレニンの分泌は促進されます。
4.「×」リシノプリル(ロンゲスⓇ)は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)なので、アンジオテンシンⅠからアンジオテンシンⅡへの変換を阻害します。
アンジオテンシンⅡは、血管収縮作用や、副腎皮質からのアルドステロン分泌作用があります。
アルドステロンは、腎臓でNa+を再吸収し、K+を排泄させ血圧を上昇させます。
ACE阻害薬を服用すると、アルドステロンの分泌が低下するので、高K血症を引き起こしやすくなります。
5.「〇」ジルチアゼム(ヘルベッサーⓇ)は、非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬に分類され、L型Ca2+チャネルを遮断します。ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬と比較すると、心臓への選択性が高いので、房室ブロックを誘発しやすいです。
Ca拮抗薬(L型・T型・N型)
問160の解答:2と5