第108回 薬剤師国家試験問題 問164(糖尿病治療薬問題) | リベラルアーツ!! 健康・社会保険・労働に関すること

第108回 薬剤師国家試験問題 問164(糖尿病治療薬問題)

第108回 薬剤師国家試験
この記事は約3分で読めます。
Pocket

問164(薬理)
糖尿病治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1.ピオグリタゾンは、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を直接活性化することで、肝臓における糖新生を抑制する。

 

2.デュラグルチドは、膵臓β細胞のグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を刺激することで、グルコースによるインスリン分泌を促進する。

 

3.ボグリボースは、ジペプチジルペプチダーゼ(DPP-4)を阻害することで、ソルビトールの細胞内への蓄積を抑制する。

 

4.トレラグリプチンは、尿細管のNa+-グルコース共輸送体2(SGLT2)を阻害することで、尿中のグルコースの再吸収を抑制する。

 

5.グリメピリドは、スルホニル尿素(SU)受容体に結合して、ATP感受性K+チャネルを遮断することで、インスリン分泌を促進する。
 
スポンサーリンク

 

問164の解説
1.「×」ピオグリタゾン(アクトス®):インスリン抵抗性改善薬
ピオグリタゾンは、脂肪細胞の核内にある核内転写因子ペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR-γ)作動薬。インスリン抵抗性を惹起する物質(TNF-α・遊離脂肪酸・レジスチン)の分泌を減少や、インスリン抵抗性を改善する物質(アディポネクチン)の分泌を増加させ、インスリン抵抗性を改善する。

 

2.「〇」デュラグルチド(トルリシティ®):GLP-1受容体作動薬
デュラグルチドは、膵臓ランゲルハンス島β細胞に存在するGLP-1受容体に結合し、細胞内cAMP濃度を上昇させ、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進する。

 
3.「×」ボグリボース(ベイスン®):α‐グルコシダーゼ阻害薬
ボグリボースは、腸管で2糖類から単糖への分解を担うα-グルコシダーゼを阻害し、糖質の消化・吸収を遅延させることにより食後の過血糖を改善する。
 
4.「×」トレラグリプチン(ザファテック®):DPP-4阻害薬
トレラグリプチンは、食事の経口摂取刺激により腸管から血中に分泌される、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)を不活性化するジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)を阻害することにより、GLP-1の血中濃度を上昇させ、糖濃度依存的に膵臓からのインスリン分泌を促進させる。
 
5.「〇」グリメピリド(アマリール®):スルホニル尿素系薬剤(SU剤)
グリメピリドは、膵臓ランゲルハンス島β細胞に存在するSU受容体に結合して、ATP依存性K+チャネルを閉口させ、インスリン分泌を促進させる。

問164の解答:2と5
糖尿病治療薬まとめ
薬剤名 作用機序
ピオグリタゾン(アクトス® PPAR‐γ作動薬(インスリン抵抗性改善)
デュラグルチド(トルリシティ® GLP-1受容体作動薬(~チド)
ボグリボース(ベイスン®) α-グルコシダーゼ阻害
トレラグリプチン(ザファテック®) DPP-4阻害薬(~グリプチン)
グリメピリド(アマリール®) ATP依存性K+チャネル閉口(SU剤)
イプラグリフロジン(スーグラ® SGLT2阻害薬(~グリフロジン)
参考資料
2023.7.22時点の記事
PAGE TOP