問163(薬理)
肝疾患、膵疾患および胆道疾患の治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.デヒドロコール酸は、その抱合体が胆汁の浸透圧を上昇させることで、胆汁中の水分を増加させる。
2.フロプロピオンは、ムスカリン性アセチルコリン受容体を遮断することで、Oddi括約筋を弛緩させて、膵液分泌を促進する。
3.ガベキサートは、外分泌腺から分泌された消化酵素を阻害することで、膵臓の自己消化を抑制する。
4.ラミブジンは、B型肝炎ウイルス(HBV)のRNAポリメラーゼを阻害することで、HBVの複製を抑制する。
5.ソホスブビルは、C型肝炎ウイルス(HCV)のNS3/4Aセリンプロテアーゼを阻害することで、HCVの複製を抑制する。
問163の解説
1.「〇」デヒドロコール酸:胆汁分泌促進薬肝臓を刺激して胆汁量を増加させるが、胆汁中の固形分の増加は伴わないため、水分の多い胆汁分泌が起こる。
2.「×」フロプロピオン(コスパノン®):胆汁排泄促進薬
COMT(Catechol‐o‐methyl‐transferase)阻害によるアドレナリン作動性作用(交感神経の興奮)や抗セロトニン作用で、胆道平滑筋やOddi括約筋が弛緩し、胆汁・膵液が十二指腸へ排出される。
3.「〇」ガベキサート(エフオーワイ®):タンパク分解酵素阻害薬
タンパク分解酵素(トリプシン、プラスミン、カリクレイン、トロンビン、C1-エステラーゼ)に対し阻害作用を示す。
4.「×」ラミブジン(ゼフィックス®):B型肝炎・HIV治療薬
ラミブジンは細胞内でリン酸化され、HBV(B型肝炎ウイルス)のDNA複製時に、DNAポリメラーゼを競合的に阻害することにより、抗HBV作用を示す。
5.「×」ソホスブビル(ハーボニー配合錠®):C型肝炎治療薬
ソホスブビルの活性代謝物は、HCV (C型肝炎ウイルス)の複製に必須である、NS 5B(HCV非構造タンパク質5B)ポリメラーゼ(RNA依存性RNAポリメラーゼ)を阻害します。
問163の解答:1と3
C型肝炎治療薬まとめ
薬剤名 | 作用機序 |
グレカプレビル
(~レビル) |
NS 3/4Aプロテアーゼ阻害剤 |
レジパスビル
ピブレンタスビル (~スビル) |
NS 5A(HCVの複製及びHCV粒子の会合に必須である非構造タンパク質)阻害 |
ソホスブビル
(~ブビル) |
NS 5Bポリメラーゼ阻害 |
ハーボニー®配合錠は、レジパスビル(NS 5A阻害)とソホスブビル(NS 5B阻害)の配合剤
マヴィレット®配合錠は、グレカプレビル(NS 3/4Aプロテアーゼ阻害)とピブレンタスビル(NS 5A阻害)の配合剤
参考資料
2023.7.21時点の記事