問185(病態・薬物治療)
冠攣縮性狭心症の病態と治療に関する記述として、正しいのはどれか。1つ選べ。
1.心筋の壊死をきたす。
2.発作は1時間以上持続する。
3.発作は夜間や早朝に生じることが多い。
4.非発作時でも、心電図異常を認める。
5.発作予防には、アドレナリンβ受容体遮断薬が有効である。
問185の解説
冠攣縮性狭心症は、冠動脈の痙攣によって一時的に冠動脈に狭窄が生じて、心筋の血流が悪くなる疾患です。
冠攣縮性狭心症の3つの特徴
①冠動脈が一時的に痙攣して収縮するため、血流が悪くなり、数分~30分以内の胸痛
②夜間や早朝などの安静時に発作が起きやすい
③非発作時に冠動脈の検査をしても、血管の狭窄は確認できない
狭心症 | 労作性狭心症
(器質性狭心症) |
運動や精神興奮によって酸素不足となり、狭心症発作が起こる。(冠動脈に狭窄があり) |
安静時狭心症
(攣縮性狭心症) |
安静時(特に明け方)に、冠動脈の攣縮によって狭心症発作が起こる。(狭窄の有無に関わらず狭心症発作が起こる) |
冠攣縮性狭心症の発作予防には、Ca拮抗薬・硝酸薬・ニコランジル(シグマ―ト®)を用います。
β遮断薬(労作性狭心症治療薬の1種)は、安静時狭心症(攣縮性狭心症)に用いると、症状を悪化させてしまうことがあるため、原則使用しません。(安静時狭心症に、β遮断薬を用いると、冠動脈のβ2刺激作用による冠血管の弛緩作用を抑制してしまうからです。)
1.「×」心筋の壊死を伴うのは心筋梗塞です。
2.「×」発作時間は、数分~30分以内です。
3.「〇」発作は夜間や早朝に生じることが多いです。
4.「×」非発作時は、心電図で異常を認めないため、24時間ホルター心電図を用いて、発作時の心電図を確認します。
5.「×」発作予防にはCa拮抗薬・硝酸薬・ニコランジル(シグマ―ト®)を用います。
問185の解答:3
2023.8.15時点の記事