第54回(令和4年度)社会保険労務士試験 労働基準法及び労働安全衛生法【問3】 | リベラルアーツ!! 健康・社会保険・労働に関すること

第54回(令和4年度)社会保険労務士試験 労働基準法及び労働安全衛生法【問3】

第54回 社会保険労務士試験
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労働基準法及び労働安全衛生法【問3】
労働基準法第36条(以下本問において「本条」という)に定める時間外及び休日の労働等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 
 

A.使用者が労働基準法施行規則第23条によって日直を断続的勤務として許可を受けた場合には、本条第1項の協定がなくとも、休日に日直をさせることができる。

 
 

B.小売業の事業場で経理業務のみに従事する労働者について、対象期間を令和4年1月1日から同年12月31日までの1年間とする本条第1項の協定をし、いわゆる特別条項により、1カ月について95時間、1年について700時間の時間外労働を可能としている事業場においては、同年の1月に90時間、2月に70時間、3月に85時間、4月に75時間、5月に80時間の時間外労働をさせることができる。

 
 

C.労働者が遅刻をし、その時間だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させる場合に、1日の実労働時間を通算すれば労働基準法第32条または第40条の労働時間を超えないときは、本条第1項に基づく協定及び労働基準法第37条に基づく割増賃金支払の必要はない。

 
 

D.就業規則に所定労働時間を1日7時間、1週35時間と定めたときは、1週35時間を超え1週間の法定労働時間まで労働時間を延長する場合、各日の労働時間が8時間を超えずかつ休日労働を行わせない限り、本条第1項の協定をする必要はない。

 
 

E.本条第1項の協定は、事業場ごとに締結するよう規定されているが、本社において社長と当該会社の労働組合本部の長とが締結した本条第1項の協定に基づき、支店又は出張所がそれぞれ当該事業場の業務の種類、労働者数、所定労働時間等所要事項のみ記入して所轄労働基準監督署長に届け出た場合、当該組合が各事業場ごとにその事業場の労働者の過半数で組織されている限り、その取扱いが認められる。
労働基準法第36条(時間外及び休日の労働):要約
使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、行政官庁に届け出た場合においては、労働基準法の労働時間又は休日に関する規定にかかわらず、その協定で定める範囲内で労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
労働基準法及び労働安全衛生法【問3】の解説
A.「〇」断続的な宿直又は日直勤務については、労働基準監督署長の許可を受けることにより、労働基準法で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用を除外することができる。(つまり、36協定が無くても宿直又は日直勤務をさせられる)

 

※労働基準法 施行規則第23条:使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、労働基準監督署長の許可を受けた場合には、これに従事する労働者を、労働基準法第32条(使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。)の規定にかかわらず、使用することができる。

 
 
 

B.「×」大原則として、労働基準法では、労働時間は原則として、1⽇8時間・1週間で40時間以内。休⽇は原則として、毎週少なくとも1回与えることとされています。

 

そのため、法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせる場合や、法定休⽇に労働させる場合には、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署⻑への届出が必要があります。

 

そして、時間外労働の上限は原則として⽉45時間・年360時間で、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができません。
特別条項(臨時的な特別の事情)の際でも、以下を守ることが必要です。
①時間外労働が年720時間以内
②時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
③時間外労働と休⽇労働の合計について、「2か⽉平均」「3か⽉平均」「4か⽉平均」「5か⽉平均」「6か⽉平均」が全て1⽉当たり80時間以内
④時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6か⽉が限度
設問の場合は、1月:90時間・2月:70時間・3月:85時間の3カ月平均の時間外労働が80時間を超えてしまっています。
(厚生労働省:時間外労働の上限規制わかりやすい解説・平成30年7月6日基発0706第1号)

 
 

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C.「〇」使用者が、労働時間を延長し労働者に、労働させた場合、その時間については、割増賃金を支払わなければならないが、今回のように労働者が遅刻をし、その時間分だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させた場合、1日の実労働時間を通算して労働基準法第32条または第40条の労働時間を超えないときは、割増賃金支払の必要はありません。:(労働基準法第37条)
 
 

D.「〇」設問に、「各日の労働時間が8時間を超えずかつ休日労働を行わせない限り」とあるので、法定労働時間内の時間外労働なので、36協定の締結は必要ありません。(労働基準法第36条)

 
 

E.「〇」使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては、労働者の過半数を代表する者と書面による協定をし、行政官庁に届け出た場合、労働時間又は休日に関する規定にかかわらず、労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。(労働基準法第36条)
労働基準法及び労働安全衛生法【問3】の解答:B
参考資料
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