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尿路結石症を予防・改善する方法

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目 次
尿路結石症とは、どんな病気?
尿路結石症とは,腎臓・尿管・膀胱・尿道などの尿の通り道に、結石ができた状態のこと。
尿路結石は、尿中のカルシウム(Ca)・マグネシウム(Mg)、シュウ酸、リン酸、尿酸、シスチン酸などの
成分が結晶化して石ができるので、以下のように分類をされます。

尿路結石の種類
・シュウ酸カルシウム結石
・リン酸カルシウム結石
・尿酸結石
・シスチン結石
・リン酸マグネシウムアンモニウム結石
尿路結石症の原因

肉類(高タンパク・高脂質)中心の偏った食生活を続けていると、カルシウム・シュウ酸・尿酸などが
尿中へ多く排出され、尿量が十分にない(水分摂取量が少ない)とカルシウム・シュウ酸・尿酸などが
結晶化して結石となります。

尿路結石症の症状
腰(背中)・脇腹辺りの激しい痛み・血尿・頻尿・残尿感・排尿痛・排尿困難・発熱・吐き気・嘔吐といった
症状が現れます。
尿路結石症の薬

・結石排出促進薬

商品名 一般名
ウロカルン® ウラジロガシエキス
ラシックス®
フロセミド
イソバイド® イソソルビド内用液

・酸性尿改善薬

商品名 一般名
ウラリット® クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム

医薬品を使用する場合は、使用する患者の年齢、症状、効果時間など様々な要因で変わってきます。
自己判断せず専門家(医師、薬剤師など)に相談することをお奨め致します。

尿路結石症を予防する・悪化を防ぐための食事方法

尿路結石の発症は、女性よりも男性に多く発症し、夏は汗の量が冬よりも多くなるため、
夏に尿路結石が増える傾向があります。

尿路結石ができやすくなる食事として、動物性タンパク質や脂質、糖分、塩分の過剰摂取(食の欧米化)が
言われており、トイレに行けない状況が多い(膀胱に尿が溜まった状態が続く)、
カップ麺をよく食べる(塩分過剰)、
夕食後すぐ寝たり(食事に含まれるシュウ酸が尿として出る前に寝ると、寝ている間に結石ができやすい)、
緑茶・紅茶の飲み過ぎ(尿路結石の原因のシュウ酸を含む)も、
尿路結石を作りやすくなる生活習慣と言われています。

 

<結論>
尿路結石の予防の基本は、①水分の多量摂取・②肥満防止・③食生活の改善の3点

 

<根拠>
①水分の多量摂取【推奨度:A:十分な証拠があり、実践するよう強く推奨する】2)
尿路結石の予防には、1日の尿量が2000mL以上となるように水分を摂取することが推奨されているため、

食事以外に1日2000mL以上の飲水が推奨されています。
(ただし、心臓や腎臓に病気をかかえている人は医師などに相談して下さい)

 

③食生活の改善
(a)カルシウムの摂取【推奨度:B:証拠があり実践するよう推奨する】2)
カルシウムを一定量摂取すると腸管内でシュウ酸と結びつき、シュウ酸を糞便中に排泄するので

結石を予防できるが、過剰のカルシウムの摂取は、シュウ酸と結合しないカルシウムが尿中に
排泄されてしまうため、結石ができやすくなるといわれている。

よって、推奨されているカルシウムの1日摂取量は600~800mgとされている。
カルシウムが多く含まれている食品:甲殻類(えび・カニ)、魚類(イワシ)、乳製品(牛乳・チーズ)3)


牛乳は効率よくカルシウムを吸収できるが、過剰な脂肪摂取も尿路結石形成の促進因子と

  考えられているため、脂肪分の少ない牛乳が推奨される。

(b)クエン酸の摂取【推奨度:A~B:証拠があり実践するよう推奨する】2)
クエン酸はシュウ酸カルシウムや、リン酸カルシウムの結晶ができるのを抑制するので、

カルシウム結石の予防に有効といわれています。また、クエン酸は、尿中pHを上昇させ酸性尿を
改善することから、尿酸結石、シスチン結石の予防にも有効といわれています。

ただし、過度の尿のアルカリ化(pH7.5以上)では、リン酸カルシウムや尿酸ナトリウムの結晶が

できやすくなるため、結石予防の尿pHは6.0~7.0が推奨されています。
クエン酸が多く含まれている食品:レモン、梅干し、大豆(きなこ)、キウイ、オレンジ、イチゴ3)

(c)シュウ酸の摂取制限【推奨度:C1:証拠は十分とは言えないが行ってもいい】2)
シュウ酸を多く含む食品:葉菜類の野菜、タケノコ、紅茶、コーヒー、お茶(玉露・抹茶)、バナナ、

チョコレート、ココア、ピーナッツ、アーモンドなどが挙げられます。
これらの食品は、カルシウムと一緒に摂取したり、ゆでたりすることでシュウ酸の吸収を減らすことができます。

(d)塩分の摂取制限【推奨度:B:証拠があり実践するよう推奨する】2)
塩分の摂取制限はカルシウム結石の予防として有効と考えられています。塩分が尿中のカルシウムを

増加させるのは、尿細管においてカルシウムの再吸収を抑制するためと考えられており、
さらに塩分の過剰摂取は尿中のクエン酸の排泄量を減少させるといわれています。

(e)プリン体の過剰摂取制限【推奨度:B~C1:証拠は十分とは言えないが行ってもいい】2)
プリン体の過剰摂取は血清の尿酸値を上昇させるため、高尿酸尿や酸性尿となり、尿路結石ができやすくなる。

そのためプリン体の過剰摂取を制限する必要がある。プリン体として1日の摂取量が400mgを
超えないようにするのがよいといわれている。

プリン体が多く含まれている食品:肉類(レバー)、魚介類(かつお・イワシ・エビ)、
ビール(ビール酵母)、クロレラ、ローヤルゼリー3)

≪参考資料≫
2
) 尿路結石症診療ガイドライン 2013年版
3) 
文部科学省 食品成分データベース

尿路結石症によいと言われている食品(調理方法)
尿路結石の種類で最も多いのは、シュウ酸カルシウム結石である。
シュウ酸は水に溶ける性質があるため、調理過程で茹で料理を行って、茹で汁を捨てると食品中に含まれる
シュウ酸の量が少なくなると言われている。
食べ合わせでは、シュウ酸はカルシウムと一緒に摂ると、腸内でシュウ酸とカルシウムが結びついて
排便されるのでシュウ酸の吸収量を抑えることが示唆されている。
尿路結石症を予防する・悪化させない生活方法の結論
①水分の多量摂取(1日の目安摂取量は、2000mL以上の飲水)
②カルシウムの摂取(1日の目安摂取量は、600~800mg)
③夕食後から寝るまでの間を4時間程度あける(夕食で摂ったシュウ酸を尿として排泄してから寝る)
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