問208-209
68歳女性。切除不能の再発直腸がんに対して、カペシタビンとオキサリプラチン併用化学療法を開始することになった。
外来化学療法室の薬剤師は、この患者にかかりつけ医から以下の薬剤が処方されていることを、お薬手帳より確認した。
なお、以下の薬剤は全て化学療法開始後も継続することとする。
(処方)
ロサルタン50mg・ヒドロクロロチアジド配合錠 1回 1錠(1日1錠)
スピロノラクトン錠25mg 1回 1錠(1日1錠)
カルベジロール錠2.5mg 1回 1錠(1日1錠)
メチルジゴキシン錠0.1mg 1回 1錠(1日1錠)
ワルファリンカリウム錠1mg 1回 2錠(1日2錠)
1日 1回 朝食後 28日分
問208(実務)
今回のがん化学療法の開始に伴い、薬物相互作用による重篤な副作用を回避するため、薬剤師が定期的にモニタリングすべき検査項目として、最も重要なのはどれか。1つ選べ。
1.血清鉄
2.尿酸
3.血清カルシウム
4.血清リン
5.PT-INR
問208の解説
1.「×」血清鉄:正常値:男性54~200・女性48~154(μg/dL)
2.「×」尿酸:7mg/dL以上だと高尿酸血症(血清尿酸値の正常値:男性で3.8~7.5mg/dL・女性で2.4~5.8mg/dL)
3.「×」血清カルシウム:血清総カルシウム濃度の正常値:8.8~10.4mg/dL(2.20~2.60mmol/L)
4.「×」血清リン:成人の血清無機リン濃度の正常値:2.5~4.5mg/dL(0.81~1.45mmol/L)
5.「〇」PT-INR(プロトロンビン時間−国際標準化比):血液凝固能を示します。
正常値1.0
ワルファリン(ワーファリンⓇ)服用者:2.0~3.0
心臓に人工弁を用いている場合:3.0~3.5(2.0~3.0以下にならないようする)
カペシタビン(ゼローダⓇ)が、CYP2C9の活性を低下させる可能性があるため、ワルファリン(ワーファリンⓇ)と併用する際は、併用開始数日後から投与中止後1ヶ月以内の間は、定期的に血液凝固能検査(プロトロンビン時間、PT-INR等)を行う。
カペシタビン(ゼローダⓇ):抗悪性腫瘍薬(代謝拮抗剤)
オキサリプラチン(エルプラットⓇ):抗悪性腫瘍薬(白金製剤)
ロサルタン・ヒドロクロロチアジド配合錠(プレミネントⓇ・ロサルヒドⓇ):持続性ARB・利尿薬合剤
スピロノラクトン(アルダクトンⓇ):抗アルドステロン性利尿・降圧薬
カルベジロール(アーチストⓇ):慢性心不全治療薬、頻脈性心房細動治療薬
メチルジゴキシン(ラニラピッドⓇ):強心配糖体
ワルファリン(ワーファリンⓇ):抗凝固薬
問208の解答:5