問320-321
86歳女性。誤嚥性肺炎で入院し、栄養障害もあったため経鼻経管栄養を実施し退院した。
本人の希望により娘の介助のもとで在宅にて療養をしている。
薬局薬剤師が在宅訪問を行うにあたり、介護支援専門員から、
「本人より、経管栄養をやめてほしいという要望がある。」と報告された。
一方、在宅訪問の際、家族からは「なんとか元気になってほしいので、
経管栄養を続けてほしい。」との意向を聴取した。
問320(実務)
薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.患者より家族の意見を優先すべきなので、介護支援専門員からの報告は考慮しなかった。
2.経管栄養をやめてほしいという意思について、再度患者に確認し、何故そのように思ったのか聞き取りをした。
3.患者の意思に従って、薬剤師が経管栄養の管を抜去した。
4.医師や在宅医療に関わる多職種と情報共有し、患者や家族と話し合った。
5.担当医師の方針に同意しなければ、在宅医療を継続できないことを患者に伝えた。
問320の解説
1.「×」患者の意見と家族の意見、両方を尊重する必要があります。
2.「〇」患者が何故、そのように考えたかを確認するため、直接、患者に再確認した方がよいです。
3.「×」経管栄養の管を薬剤師の判断で、抜去してはいけません。
4.「〇」多職種間で情報を共有し、患者や家族の意見を尊重し治療方針を決めていきます。
5.「×」担当医の方針に同意しなくても、在宅医療は継続できます。
問320の解答:2と4
問321(法規・制度・倫理)
この患者の要望の様な患者の意思及び自己決定を尊重する考え方について述べている、世界医師会総会が採択した宣言はどれか。1つ選べ。
1.ヘルシンキ宣言
2.ジュネーブ宣言
3.バルセロナ宣言
4.リスボン宣言
5.世界人権宣言
1.「×」ヘルシンキ宣言:人間を対象とする医学研究の倫理(インフォームド・コンセント)
2.「×」ジュネーブ宣言:医師は患者の健康を第一に考えるべき
3.「×」バルセロナ宣言:生命倫理
4.「〇」リスボン宣言:患者の権利(適切な医療を受ける・選択の自由・自己決定などの権利)
5.「×」世界人権宣言:基本的人権尊重