問248-249(実務/薬理)
68歳男性。胸痛、咳嗽、発熱により救急外来を受診した。
胸部X線検査で肺炎像と胸水貯留が認められ、重症細菌性肺炎が疑われたため入院となり、
以下の処方1と処方2で治療を開始することとなった。
(入院時の身体所見及び検査値)
身長165cm、体重60kg、体温39.5℃、呼吸25回/分
白血球18,000/μL、CRP 18.5mg/dL、eGFR 80mL/min/1.73m2、SpO2 92%
(処方1)
メロペネム点滴静注用1g 生理食塩液100mL
1日3回 8:00、16:00、24:00
30分かけて静脈内投与 3日連日
(処方2)
アセトアミノフェン静注液 1000mg/100mL(1回500mg使用)
1日2回 10:00、18:00
15分かけて静脈内投与 3日連日
救急外来担当薬剤師がお薬手帳を確認したところ、てんかんの治療中であり、
現在、バルプロ酸ナトリウム、レベチラセタム、ペランパネルを内服していることがわかった。
問248(実務)
この患者で生じる可能性のある薬物相互作用を踏まえて、薬剤師が医師に変更を提案する薬物として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1.バルプロ酸ナトリウム
2.ペランパネル
3.レベチラセタム
4.メロペネム
5.アセトアミノフェン
問248の解説
1.「×」バルプロ酸(デパケンⓇ・セレニカⓇ)は、GABAトランスアミナーゼ阻害作用により、シナプス間隙のGABA量を増加させ、抗てんかん作用を示します。
2.「×」ペランパネル(フィコンパⓇ)は、シナプス後膜に存在するAMPA(α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid)型グルタミン酸受容を遮断して、抗てんかん作用を示します。
3.「×」レベチラセタム(イーケプラⓇ)は、脳内の神経終末にあるシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)と結合し、抗てんかん作用を示します。
4.「〇」メロペネム(メロペンⓇ):カルバペネム系抗生物質
カルバペネム系抗生物質とバルプロ酸の併用により、バルプロ酸の血中濃度が低下し、てんかん発作がおこることがあるので、違う抗菌薬を提案します。
設問の患者は、てんかんの治療中で、抗てんかん薬を継続服用していると考えられるため、抗てんかん薬を変更すると、てんかん症状が増悪する可能性があるので、抗菌薬の変更を提案します。
5.「×」アセトアミノフェン(アセリオⓇ):解熱鎮痛薬
問248の解答:4
問249(薬理)
この患者で薬物相互作用が懸念される抗てんかん薬の作用機序はどれか。2つ選べ。
1.炭酸脱水酵素を阻害して、神経細胞の過剰興奮を抑制する。
2.グルタミン酸AMPA受容体を遮断して、シナプス後膜の興奮を抑制する。
3.T型Ca2+チャネルを遮断して、シナプス後膜の興奮を抑制する。
4.シナプス小胞タンパク質(SV2A)と結合して、興奮性神経伝達物質の放出を抑制する。
5.GABAトランスアミナーゼを阻害して、シナプス間隙におけるGABA量を増加させる。
問249の解説
1.「×」アセタゾラミド(ダイアモックスⓇ)の作用機序です。
2.「×」ペランパネル(フィコンパⓇ)の作用機序です。
3.「〇」バルプロ酸(デパケンⓇ・セレニカⓇ)の作用機序です。
4.「×」レベチラセタム(イーケプラⓇ)の作用機序です。
5.「〇」バルプロ酸(デパケンⓇ・セレニカⓇ)の作用機序です。
問249の解答:3と5