問244-245
生後24日男児。母親は出産後、実家に帰省して子育てをしており、実家では井戸水で溶かした人工乳を与えていた。
生後12日から次第に哺乳力が低下し、生後24日に痙れんが出現したため、救急車を要請した。
来院時、チアノーゼを認め、動脈血液ガス分析の結果は、以下のとおりであった。
(検査値)
pH7.15(基準値7.4±0.5)、PaCO2 22.1mmHg(基準値40±5mmHg)、PaO2 71.3mmHg(基準値85±15mmHg)、HCO3― 12.7mEq/L(基準値24±2mEq/L)、メトヘモグロビン45%(基準値<2%)、一酸化炭素ヘモグロビン1.9%(基準値<3%)
問244(衛生)
この患児の症状の原因と考えられる井戸水の汚染物質はどれか。2つ選べ。
①亜硝酸態窒素
②硝酸態窒素
③ベンゼン
④1,4-ジオキサン
⑤ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)
問244の解説
井戸水は、地下水を使用するため、常に一定の水質ではありません。
周りの環境(農地への過剰肥料・家畜排泄物の不適切な処理・生活排水の地下浸透・工場排水の不適切な処理)によって、汚染される可能性があります。
設問より、井戸水を使用し、チアノーゼを認め、検査値で、メトヘモグロビンが基準値より大きく上回っているので、亜硝酸によるメトヘモグロビン血症を疑います。
亜硝酸により、ヘモグロビン(Fe2+)が酸化され、メトヘモグロビン(Fe3+)となり、酸素運搬能が低下したことによる、チアノーゼと考えられます。
よって、選択肢より、「亜硝酸態窒素」や「硝酸態窒素」を選択します。
1.「〇」
2.「〇」
3.「×」
4.「×」
5.「×」
問244の解答:1と2
問245(実務)
この患児に対する治療薬として最も適切と考えられるのはどれか。1つ選べ。
1.メチレンブルー
2.ペニシラミン
3.クエン酸第一鉄ナトリウム
4.チオ硫酸ナトリウム
5.ホメピゾール
1.「〇」メチレンブルー:メトヘモグロビン血症治療薬
NADPH還元酵素存在下で、メチレンブルーから生成したロイコメチレンブルーが、メトヘモグロビンをヘモグロビンに還元して、メトヘモグロビン血症を改善します。
2.「×」ペニシラミン(メタルカプターゼⓇ):鉛・水銀・銅中毒の解毒剤・ウイルソン病治療薬・抗リウマチ薬
3.「×」クエン酸第一鉄ナトリウム(フェロミアⓇ):鉄欠乏性貧血治療薬
4.「×」チオ硫酸ナトリウム(デトキソールⓇ):シアン中毒・ヒ素中毒の解毒剤
5.「×」ホメピゾール:エチレングリコール中毒・メタノール中毒の解毒剤