第108回 薬剤師国家試験問題 問226-227(相対危険度 問題) | リベラルアーツ!! 健康・社会保険・労働に関すること

第108回 薬剤師国家試験問題 問226-227(相対危険度 問題)

第108回 薬剤師国家試験
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精神神経科の医師から医薬品情報室に、妊婦がリチウム製剤とラモトリギン製剤を服用したときの胎児における心奇形の発生について質問があった。

薬剤師が論文を検索し、各製剤の服用による胎児の心奇形発生に関するコホート研究報告を見つけた。

論文には下表に示した結果が掲載されていた。

 

表 妊婦のリチウム製剤又はラモトリギン製剤の服用による胎児の心奇形の発生数

心奇形

なし あり 合計
薬剤非服用群 1,182,000 18,000 1,200,000
リチウム製剤服用群 482 18 500
ラモトリギン製剤服用群 1,950 50 2,000
合計 1,184,432 18,068 1,202,500

(参考:N Engl J Med 2017;376:2245-54.)

 

問227(実務)

論文には、薬剤非服用群に対するリチウム製剤又はラモトリギン製剤服用群の相対危険度(傾向スコア分析により補正した値)を服用量別に示した図が載っていた。妊娠中の薬剤服用状況と胎児の心奇形発生に関し、下図を基に薬剤師が医師に説明する内容として誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

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1.リチウム製剤服用量が1日900mgを超える群では、出生100人あたり6.32人に心奇形が発生しています。

 

2.リチウム製剤服用量が1日900mgを超える場合、薬剤非服用群に比べ胎児の心奇形は約4.2倍発生しやすくなると考えられます。

 

3.リチウム製剤服用量の増加に伴い、胎児の心奇形が発生しやすくなる傾向が認められます。

 

4.ラモトリギン製剤は、リチウム製剤に比べ胎児の心奇形発生リスクを統計学的に有意に上昇させると考えられます。

 

5.ラモトリギン製剤服用群全体では、出生100人あたり2.5人に心奇形が発生しています。

 

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問227の解説

1.「〇」図より、リチウム製剤服用量が1日900mgを超える群では、出生100人あたり6.32人に心奇形が発生していることが読みとれます。

 

 

2.「〇」リチウム製剤服用量が1日900mgを超える場合、薬剤非服用群に比べ胎児の心奇形は、6/95÷18,000/1,200,000=4.2(6.32/1.5≒4.213)倍発生しやすくなると考えられます。

 

 

3.「〇」図より、リチウム製剤服用量が、1日600mg以下では、出生100人あたり2.27人、601~900mg以下では、出生100人あたり3.78人、1日900mg超えでは、出生100人あたり6.32人に心奇形が発生していることが読みとれるので、リチウム製剤服用量の増加に伴い、胎児の心奇形が発生しやすくなる傾向が認められます。

 

 

4.「×」図は薬剤非服用群とリチウム製剤またはラモトリギン製剤を服用した群の心奇形発生の相対危険度(95%信頼区間)を示しているので、リチウム製剤とラモトリギン製剤を比較した心奇形発生の統計学的な有意差は分からない。

ただし、心奇形発生リスク:リチウム製剤 > ラモトリギン製剤とは考えられます。

 

 

5.「〇」ラモトリギン製剤服用群の妊婦数は、900+700+400=2000人。

そのうち、心奇形発生数が、20+18+12=50人なので、50/2000=0.025

出生100人あたりだと、0.025×100=2.5

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