問218-219
85歳男性。中等度の認知症及び高血圧症の治療中。
部屋の中ではつたい歩きができるが、活動量が低下し、家に引きこもりがちである。
今回、腰痛を訴え整形外科を受診したところ、骨粗しょう症と診断された。
整形外科受診時の検査値、現在服用中の薬剤は以下のとおりである。
なお、肝機能に異常はない。
(身体所見及び検査値)
骨密度65%、血圧128/80mmHg、身長168cm、体重62kg、
血清クレアチニン0.9mg/dL、Ca 9.0mg/dL(基準値8.0~10.4mg/dL)
血清25-ヒドロキシビタミンD 8ng/mL(20ng/mL以下は欠乏とみなす)
(現在服用中の薬剤)
ドネペジル塩酸塩錠5mg 1回1錠(1日1錠)
バルサルタン錠80mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後
問218(実務)
この患者の骨粗しょう症治療に用いる薬剤として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.アレンドロン酸錠
2.ブシラミン錠
3.ラロキシフェン塩酸塩錠
4.L-アスパラギン酸Ca錠
5.エルデカルシトールカプセル
問218の解説
1.「〇」アレンドロン(ボナロンⓇ・フォサマックⓇ):ビスホスホネート製剤
ビスホスホネート製剤は、破骨細胞に取り込まれた後、破骨細胞の活性を阻害します。
破骨細胞の活性が抑制され、骨吸収が減少するので、骨粗鬆症治療薬として用いられます。
2.「×」ブシラミン(リマチルⓇ)は、関節リウマチの治療薬です。
3.「×」ラロキシフェン(エビスタⓇ)は、閉経後骨粗鬆症治療薬です。
ラロキシフェンは、選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM:Selective Estrogen Receptor Modulator)に分類され、エストロゲン受容体を介して作用を発現しますが、骨に対しては骨吸収を抑制するというエストロゲン様の作用を発揮しますが、乳房や子宮に対してはエストロゲン様の刺激作用は発揮しないという薬です。そのため、男性には用いません。
4.「×」L-アスパラギン酸Ca(アスパラ−CAⓇ)は、カルシウムの補給に用いられる薬です。
設問の患者は、Ca 9.0mg/dL(基準値8.0~10.4mg/dL)で不足していないので、違う骨粗鬆症治療薬を検討します。
5.「〇」エルデカルシトール(エディロールⓇ):活性型ビタミンD3製剤
小腸でのCa吸収促進と、破骨細胞の形成阻害による骨吸収の抑制により、骨粗鬆症治療薬として用いられます。
問218の解答:1と5
問219(物理・化学・生物)
本患者が血液検査で測定した25-ヒドロキシビタミンDに含まれる25(OH)ビタミンD3は、下図に示すように、プロビタミンD3から反応A、Bを経て作られ、反応C、Dで代謝される。
以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
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1.プロビタミンD3は、生体内で合成されない。
2.紫外線を浴びた皮膚で進行する反応は、Bである。
3.副甲状腺ホルモン(パラトルモン)によって促進される反応は、Dである。
4.活性型ビタミンD3は、25(OH)ビタミンD3である。
5.活性型ビタミンD3は、最終的に腎臓で生成される。
1.「×」プロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール)は、コレステロールの前駆体なので、生体内で合成されます。
2.「×」紫外線を浴びた皮膚で進行する反応は、Aです
3.「〇」副甲状腺ホルモン(パラトルモン:PTH):血中のCaを増やす働きをします。
骨吸収の増加・腎臓の尿細管でCa再吸収・ビタミンDの活性化
4.「×」活性型ビタミンD3は、1,25(OH)2ビタミンD3です。
5.「〇」活性型ビタミンD3は、最終的に腎臓で生成されます。