第108回 薬剤師国家試験問題 問216-217(アレルギー検査と減感作療法 問題) | リベラルアーツ!! 健康・社会保険・労働に関すること

第108回 薬剤師国家試験問題 問216-217(アレルギー検査と減感作療法 問題)

第108回 薬剤師国家試験
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30歳男性。2月から突然のくしゃみ、鼻水、目のかゆみが出始め、仕事にも集中できなくなり、翌月に近所の耳鼻科医院を受診した。

その場で、簡便なアレルギー検査を行うことになった。

この検査キットは、抗原抗体反応を利用したクロマトグラフィーの原理を用いている。

患者の血液サンプルを用いた約20分の検査で、ハウスダスト系(ヤケヒョウヒダニ、ゴキブリ、ネコ皮屑、イヌ皮屑)、花粉系(スギ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ)の計8種類のアレルゲンに対するアレルギーの有無を判定できる。

図の検体(血液)滴下部にこの患者の血液サンプルを滴下して5分待ち、続いて展開液滴下部にキットの展開液を滴下して15分待ち、判定部に出現するバンドを確認したところ、下図のように、C(コントロール)以外に1本のバンドが認められた。

 

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問216(物理・化学・生物)

採取した患者の血液中に含まれる成分で、このアレルギー検査で測定されたのはどれか。1つ選べ。

 

1.スギ花粉(アレルゲン)

 

2.抗ヒトIgE抗体

 

3.スギ花粉に特異的なIgE

 

4.スギ花粉に特異的なIgG

 

5.IgEに特異的なFc受容体

 

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問216の解説

検査キットによる抗原抗体反応の結果から、患者はスギ花粉に対し抗体を持っていると判断できます。

スギ花粉症(アレルギー性鼻炎)などは、Ⅰ型アレルギーに分類されます。

Ⅰ型アレルギーは、IgE抗体が関与するので、患者はスギ花粉に対して特異的なIgE抗体を持っていると考えられます。

 

1.「×」

 

2.「×」

 

3.「〇」

 

4.「×」

 

5.「×」

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問217(実務)

その後、詳細な検査も行い、患者はスギ花粉症と診断され、薬物療法による治療を受けていた。

患者から薬を服用すると眠気があり仕事に差し支えることが多いとの訴えがあったので、医師はスギ花粉飛散シーズン後に舌下免疫療法を勧めていた。

今回、舌下免疫療法による治療が開始されることになり、以下の処方箋を持って薬局を訪れた。

なお、初回である翌朝の分は処方した耳鼻科医の前で服用する予定である。

また、薬剤師は、この処方医が舌下免疫療法に関する講習を修了していることを確認した。

 

(処方)

シダキュアスギ花粉舌下錠(注)2,000JAU

1回1錠(1日1錠)  1日1回   朝食後 7日分

(注:スギ花粉症の減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬)

この患者への舌下免疫療法に関する説明として誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

 

1.舌の下に薬を置き、保持した後、飲み込みます。

 

2.服用前後は、激しい運動を避けてください。

 

3.スギ花粉症に対する治療薬で、すべてのアレルギーに対して有効とはいえません。

 

4.口の中に傷や炎症があるとき、医師や薬剤師に相談してください。

 

5.この薬は、次回から段階的に成分量を減らしていきます。

 

 

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問217の解説

1.「〇」シダキュア・ミティキュアは、舌の下に薬を置いて、1分間保持した後、飲み込みます。その後、5分間はうがい・飲食を控えます

 

 

2.「〇」シダキュア・ミティキュアの吸収が促進され、アナフィラキシーなどの副作用が出ないようにするため、服用前・服用後2時間は、激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避けるよう患者に伝えます。

 

 

3.「〇」シダキュアは、スギ花粉症に対する減感作療法です。

ミティキュアは、ダニ抗原(ハウスダスト)に対する減感作療法です。

 

 

4.「〇」歯科に通院し抜歯後など口腔内の処置後や、口腔内に傷や炎症がある患者が、シダキュア・ミティキュアを服用する場合、口腔内の状態によっては、薬の吸収に影響がでる場合があるため、医師や薬剤師に相談してくださいと患者に伝えます。

 

 

5.「×」シダキュアは、次回から成分量が増えます

通常、シダキュアは、投与開始1週間は2,000JAUを、2週目以降は、5,000JAUを服用します。

通常、ミティキュアは、投与開始1週間は3,300JAUを、2週目以降は、10,000JAUを服用します。

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