48歳男性。建築業に従事しており、高所での作業が多い。
40歳時の健康診断で高血糖を指摘されて以降、近医に通院している。
現在は以下の薬剤及び用法用量で2型糖尿病、高血圧、安定狭心症及び脂質異常症の治療を受けている。
メトホルミン塩酸塩錠250mg 1回1錠(1日2回)朝夕食後
カナグリフロジン水和物錠100mg 1回1錠(1日1回)朝食後
アジルサルタン錠20mg 1回1錠(1日1回)朝食後
アムロジピン錠5mg 1回1錠(1日1回)朝食後
ピタバスタチンCa錠1mg 1回1錠(1日1回)朝食後
指導された食事療法と運動療法は遵守できている。
今回受診の身体所見と検査所見は以下のとおりであった。
身長 174cm、体重 72kg、血圧 128/78mmHg
空腹時血液検査結果:血糖 124mg/dL、HbA1c 7.2%、総コレステロール 220mg/dL、
TG(トリグリセリド) 148mg/dL、HDL-C 70mg/dL、
LDL-C 148mg/dL、血清クレアチニン 0.7mg/dL、
eGFR 86mL/分/1.73m2
尿検査結果:糖(4+)、蛋白(±)、潜血(-)、ケトン体(-)、
尿アルブミン/クレアチニン比 50mg/gCr
各薬剤の添付文書上の用法用量は以下のとおりとする。
メトホルミン塩酸塩錠 1日500mgより開始し、維持量は750~1500mg。
1日最大用量は2250mg。
カナグリフロジン水和物錠 100mgを1日1回。
アジルサルタン錠 20mgを1日1回。1日最大用量は40mg。
アムロジピン錠 (高血圧症)2.5~5mgを1日1回。
1日最大用量は10mg。
(狭心症)5mgを1日1回。症状に応じて適宜増減。
ピタバスタチンCa錠 1mgを1日1回。1日最大用量は4mg。
今回の所見を踏まえた治療の変更として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.メトホルミン塩酸塩を増量する。
2.グリメピリドを追加する。
3.アムロジピンを増量する。
4.ピタバスタチンCaを増量する。
5.イコサペント酸エチルを追加する。
問190の解説
設問より、建築業に従事しており、高所での作業が多い方なので、糖尿病治療薬で低血糖が起こると危険なので、患者のバックグラウンドにも配慮した薬剤選択をしましょう。
1.「〇」空腹時血糖値 124mg/dL・HbA1c 7.2%・尿糖(4+)より、正常範囲(空腹時血糖値:70~110mg/dL・HbA1c 4.6〜6.2%)より高いのと、メトホルミン(メトグルコ®)の維持量が750~1500mg/dayと記載されているので、メトホルミンの増量は、1つの提案となります。
2.「×」SGLT2阻害薬(カナグリフロジン:カナグル®)を服用していて、SU剤(グリメピリド:アマリール®)を追加する場合、低血糖を起こす危険性がある。
3.「×」血圧 128/78mmHgより、正常範囲なので、アムロジピン(アムロジン®)を増量する必要はない。
4.「〇」LDL-C 148mg/dLより、正常範囲(140mg/dL)より少し高いため、ピタバスタチン(リバロ®)の増量を検討する。
5.「×」TG 148mg/dLより、正常範囲(150mg/dL)のため、イコサペント酸エチル(エパデール®)を追加しなくてもよい。
脂質代謝異常症治療薬の特性 |
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分類 | LDL-C | TG |
スタチン | ↓↓↓ | ↓ |
フィブラート | ↓ | ↓↓↓ |
多価不飽和脂肪酸 | - | ↓ |
小腸コレステロールトランスポーター阻害剤 | ↓↓ | ↓ |
問190の解答:1と4