37歳女性。高血圧症があり、処方1の薬剤を服用していた。今回、来局したときに、「この度、結婚することになり、できれば子供も欲しいと思うようになった」と話していた。対応した、かかりつけ薬剤師は、処方期間中に妊娠する可能性を考え、処方医へ薬剤変更を提案することにした。最も適切な薬物はどれか。1つ選べ。
(処方1)テルミサルタン錠40mg 1回1錠(1日1錠)1日1回 朝食後 90日分
1.メチルドパ水和物
2.ドキサゾシンメシル酸塩
3.スピロノラクトン
4.エトレチナート
5.ヒドロクロロチアジド
問186の解説
テルミサルタン(ミカルディス®):ARBの妊婦への投与は、禁忌です。
妊娠中期及び末期に、ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)・ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)を投与された妊婦で、羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の発育不全等が現れたとの報告があるため。
1.「〇」メチルドパ(アルドメット®)は、提案する候補薬となります。
2.「×」動物において胎児器官形成期に、ドキサゾシン(カルデナリン®)投与で、胎児死亡率の増加が報告されている。
3.「×」スピロノラクトン(アルダクトン®)は、男子胎児の女性的特徴を発達させることがあるため、使用を避ける。
4.「×」エトレチナート(チガソン®)には、催奇形性があるため、投与中及び投与中止後少なくとも2年間は避妊。また、男性であっても、投与中及び投与中止後少なくとも6ヵ月間は避妊。
5.「×」ヒドロクロロチアジド(チアジド系利尿薬):利尿効果に基づく胎盤血流量減少・血漿量減少が現れることがあるため、有益性が胎児へのリスクを上回る場合にのみ使用。
妊娠中の高血圧治療薬
・ヒドララジン(アプレゾリン®)
・メチルドパ(アルドメット®)
・Ca拮抗薬:アムロジピン(アムロジン®)・ニフェジピン(アダラート®)
・β遮断薬:ラベタロール(トランデート®)
問186の解答:1