日本は、公的医療保険や公的年金制度が存在します。
そのため、民間医療保険に加入が必要なのか、不必要なのかを検討する際、
公的医療保険や公的年金制度で、どのような給付を受けることができるのか
知ることが重要となります。
①高額療養費制度
同一月(月の初めから終わりまで)に、
医療機関や薬局の窓口で支払った自己負担額が、
一定の金額(自己負担限度額)を超えた際、払い戻される制度のこと。
※自己負担限度額は、年齢や所得に応じて異なります。
※保険外負担分(差額ベッド代、インプラント費用等)や、入院時の食事負担額等は対象外です。
例えば、協会けんぽの被保険者、年齢が40歳、標準報酬月額が35万円で、
4月1日~4月30日までの自己負担医療費が3割負担で30万円(総医療費:100万円)だった場合
80,100円 + (1,000,000 – 267,000)× 1% = 87,430円となり、
自己負担額としては、87,430円。
高額療養費としては、212,570円が支給されます。
②障害年金
年金というと、老後の生活を支える、老齢年金が思い浮かびますが、
現役世代にとっても、不慮のけが・病気などで、
生活や仕事などが制限されるようになった場合に、
一定の要件を満たしていると障害年金が支給されます。
障害年金は、視覚障害・聴覚障害・肢体不自由などの障害だけでなく、
長期療養が必要ながん・糖尿病・心疾患・呼吸器疾患などの内部疾患、
統合失調症などの精神の障害なども対象となります。
③傷病手当金
協会けんぽ等の健康保険加入者(会社員など)は、
法定給付のため、傷病手当金が支給されます。
《協会けんぽの支給要件》
被保険者が業務外の事由により、病気やけがのため会社を休み、
療養のため働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、
4日目以降の休んだ日に対し、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月間支給されます。
《協会けんぽの1日あたりの支給額》
支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × (2/3)
例えば、協会けんぽの被保険者で、
支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額が36万円の場合
36万円 ÷ 30 × 2/3 = 8,000円となり、
1日あたりの傷病手当金額として8,000円が支給されます。
一方、市町村の国民健康保険加入者(自営業者など)は、
任意給付のため、詳細は加入している市町村に確認する必要がありますが、
基本的に傷病手当金の支給はありません。
このように、傷病手当金は加入している公的健康保険により
支給の有無・支給期間などが異なります。