問250・251（薬理／実務）
29歳女性。５年前に潰瘍性大腸炎と診断され、メサラジン、副腎皮質ステロイド薬、タクロリムス、アザチオプリン、アダリムマブを使用してきたが、これまでの治療薬では寛解の維持が困難であった。
医師はこれまでとは異なる作用機序の薬剤を新たに開始することを検討している。
問250（薬理）
新たに開始する候補薬剤の作用機序として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.IL-12及びIL-23のp40サブユニットに特異的に結合して、ヘルパーT細胞の活性化を抑制する。
2.TNF-αに特異的に結合して、TNF-αの作用を抑制する。
3.カルシニューリンを阻害して、IL-2の産生を抑制する。
4.プリン塩基の合成を阻害して、リンパ球の増殖を抑制する。
5.ヤヌスキナーゼ（JAK）を阻害して、リンパ球の活性化を抑制する。
問250の解説
メサラジン（アサコールⓇ・ペンタサⓇ・リアルダⓇ）：5-アミノサリチル酸製剤（5-ASA製剤）活性酸素除去
カロテグラスト（カログラⓇ）：α4インテグリン阻害薬
1.「〇」ウステキヌマブ（ステラーラⓇ）：抗IL-12/23p40モノクローナル抗体
2.「×」アダリムマブ（ヒュミラⓇ）：抗TNF-αモノクローナル抗体についての記載です。
3.「×」タクロリムス（プログラフⓇ）：カルシニューリン阻害薬についての記載です。
4.「×」アザチオプリン（アザニンⓇ・イムランⓇ）：プリン代謝拮抗薬（核酸合成阻害）についての記載です。
5.「〇」トファシチニブ（ゼルヤンツⓇ）・フィルゴチニブ（ジセレカⓇ）・ウパダシチニブ（リンヴォックⓇ）：JAK阻害薬
問250の解答：1と5
問251（実務）
患者は内服薬による治療を希望し、新たに内服薬を開始することになった。
医師より、開始する薬剤に関する留意点について、患者への説明を依頼された。
説明する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
1.寛解が得られた後、寛解維持期においては隔日投与となること。
2.腎機能障害が現れやすいこと。
3.脂質検査値の異常が現れる可能性があること。
4.眠気が起こりやすいこと。
5.感染症を起こしやすいこと。
問251の解説
ウステキヌマブ（ステラーラⓇ）：抗IL-12/23p40モノクローナル抗体は、注射薬
トファシチニブ（ゼルヤンツⓇ）・フィルゴチニブ（ジセレカⓇ）・ウパダシチニブ（リンヴォックⓇ）：JAK阻害薬は、内服薬
1.「×」JAK阻害薬は、寛解後の寛解維持期においても、毎日服用します。
2.「×」
3.「〇」JAK阻害薬の基本的な注意点として、脂質検査値の異常があります。
4.「×」
5.「〇」JAK阻害薬の基本的な注意点として、免疫抑制作用があるため、感染症に注意が必要です。
問251の解答：3と5
