問338(実務)
65歳男性。進行非小細胞肺がんの治療のためカルボプラチン、ペメトレキセド、ベバシズマブ療法を開始することになった。
外来化学療法室の担当薬剤師は、 次回来院までの間、電話での経過観察を含む服薬状況の確認を実施することにした。
次の記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
なお、補助薬として葉酸錠、 ビタミンB12注射剤及びヘパリン類似物質クリームが処方されている。
1.カルボプラチン投与患者で他の白金製剤と比較して頻発する末梢神経障害を発症していないか確認する。
2.ペメトレキセドの副作用を予防するために処方されている葉酸錠のアドヒアランスを確認する。
3.ベバシズマブ投与後に頻発する低血圧症が起こっていないか確認する。
4.発熱、咳嗽、呼吸困難など間質性肺炎を疑う症状が起こっていないか確認する。
5.手足症候群緩和のために処方されているビタミンB12注射剤の副作用について確認する。
問338の解説
1.「×」カルボプラチン(パラプラチンⓇ):白金製剤
白金製剤は、DNAの2本鎖に架橋構造を形成して、DNAの複製を阻害し、抗腫瘍効果を示します。
カルボプラチンは、他の白金製剤である、シスプラチン(ランダⓇ)やオキサリプラチン(エルプラットⓇ)と比較して、末梢神経障害の程度が軽く、頻度も少ないといわれています。
2.「〇」ペメトレキセド(アリムタⓇ):代謝拮抗薬
葉酸代謝酵素を阻害することにより、DNA合成を阻害して抗腫瘍効果を示します。
ペメトレキセドによる副作用(白血球・血小板減少や、嘔吐・下痢など)を防止するため、ペメトレキセドを投与する7日以上前から、葉酸とVB12を使用します。
3.「×」ベバシズマブ(アバスチンⓇ):抗VEGFモノクローナル抗体(血管新生阻害剤)
※VEGF:Vascular Endothelial Growth Factor(血管内皮増殖因子)
ベバシズマブの副作用として、高血圧・蛋白尿・出血・血痰・血栓などがあります。
ベバシズマブの投与期間中は、高血圧となることがあるので、血圧を定期的に測定します。
4.「〇」カルボプラチン・ペメトレキセド・ベバシズマブは、間質性肺炎がおこることがあるため、臨床症状(発熱・咳嗽・呼吸困難など)を観察して、定期的に胸部X線検査などを行います。
5.「×」抗がん剤により、手足の皮膚細胞が障害されて起こる副作用のことを、手足症候群といいます。
手足症候群は、保湿・清潔・物理的刺激を避けることによって、悪化を防ぐことができます。
問338の解答:2と4