問339(実務)
73歳男性。体重72kg。持続性心房細動及び高血圧症に対して治療中であった。
自宅で階段を踏み外し、転倒したため救急搬送された。
頭部CT検査は異常なしであったが、右前腕部尺骨の骨折による前腕部の腫脹が認められたため、保存治療のため入院することになった。
入院時検査を行うとともに病棟薬剤師が持参薬の確認を行った。
(持参薬)
ビソプロロールフマル酸塩錠2.5mg
オルメサルタン口腔内崩壊錠20mg
スピロノラクトン錠50mg
ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物懸濁用散分包 5g
エドキサバントシル酸塩水和物口腔内崩壊錠60mg
(入院時所見)
体温 36.8 ℃、血圧 128/80mmHg、脈拍 92拍/分
(検査値)
赤血球 453×104 /μL、白血球 4,060/μL、血小板 15.4×104 /μL、
Hb 14.2g/dL、AST 24 IU/L、ALT 18 IU/L、
総ビリルビン 0.8 mg/dL、 γ-GTP 54 IU/L、LDH 248 IU/L、
尿酸 6.0mg/dL、Na 141 mEq/L、 K 3.0 mEq/L、
血清アルブミン 3.5g/dL、BUN 39mg/dL、 血清クレアチニン 1.85mg/dL、
CCr 36.2mL/min、下肢浮腫(+)、 尿蛋白(+)
この患者の持参薬のうち、薬剤師が入院時に減量あるいは中止を提案する薬剤として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.ビソプロロールフマル酸塩錠
2.オルメサルタン口腔内崩壊錠
3.スピロノラクトン錠
4.ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物懸濁用散分包
5.エドキサバントシル酸塩水和物口腔内崩壊錠
問339の解説
1.「×」ビソプロロール(メインテートⓇ):β1遮断薬
心房細動及び高血圧症で、血圧 128/80mmHg、脈拍 92拍/分なので、減量あるいは中止の提案は必要ありません。
2.「×」オルメサルタン(オルメテックⓇ):AT1受容体遮断薬(ARB)
高血圧症で、血圧 128/80mmHgなので、減量あるいは中止の提案は必要ありません。
3.「×」スピロノラクトン(アルダクトンⓇ):K保持性利尿薬(抗アルドステロン性利尿薬)
K 3.0 mEq/L(基準値:3.5〜5.0mEq/L)より、減量あるいは中止の提案は必要ありません。
4.「〇」ジルコニウム(ロケルマⓇ):高カリウム血症改善薬
K 3.0 mEq/L(基準値:3.5〜5.0mEq/L)より、中止の提案をします。
ジルコニウムは、微細孔構造を有するポリマーで、K+をH+やNa+と交換し、Kを糞中に排泄させます。
5.「〇」エドキサバン(リクシアナⓇ):活性化血液凝固第X因子(FXa)阻害薬
エドキサバンは、腎排泄型薬剤です。
CCr 36.2mL/minより、エドキサバンを減量し、1日1回30mgで提案します。
(※30≦CCr(クレアチニンクリアランス)≦50のときは、30mgを1日1回経口投与)
問339の解答:4と5