問326(実務)
84歳男性。体重減少と身体活動の低下のため介護保険施設に入所中である。
歩行中に転倒し、大腿骨頸部骨折により整形外科病院に入院となった。
患者は、オルメサルタン、アゼルニジピン、エソメプラゾール、アトルバスタチン、センノシドを服用中であった。
(現病歴)
高血圧症、脂質異常症、便秘症
(入院2週間前の血圧記録)
血圧手帳より、平均 112/64 mmHg
(入院時検査値)
血圧 110/62 mmHg、心拍 66拍/分、LDL-C 82 mg/dL、
HDL-C 56 mg/dL、 TG(トリグリセリド)110 mg/dL
病棟担当薬剤師は、患者が持参した薬剤の継続について医師から相談を受け、
本患者の生命予後に関して、文献の情報を参考に検討した。
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フレイルを伴う高齢患者における降圧薬の多剤併用の有無及び収縮期血圧が生存率に及ぼす影響 (JAMA Intern Med, 175(6):989-995(2015)より引用改変)
生命予後の改善を念頭に、薬剤師が医師に伝える内容として、最も優先順位が高いのはどれか。1つ選べ。
1.オルメサルタンを中止する。
2.アトルバスタチンを中止する。
3.オルメサルタンとアゼルニジピンを同時に中止する。
4.オルメサルタンとアゼルニジピンの合剤に変更する。
5.現在の治療を継続する。
問326の解説
1.「〇」設問の患者は、入院2週間前の血圧が、収縮期血圧:(平均)112 mmHg、入院時収縮期血圧:110 mmHgとなっています。
文献情報から、収縮期血圧130mmHg未満、降圧薬2剤以上は、生存率が一番低くなっています。
生命予後の改善を念頭に、薬剤師が医師に伝える内容としては、降圧薬を1剤中止します。
2.「×」
3.「×」
4.「×」
5.「×」
※オルメサルタン(オルメテックⓇ):AT1受容体遮断薬(ARB)
※アゼルニジピン(カルブロックⓇ):Ca拮抗薬
※エソメプラゾール(ネキシウムⓇ):プロトンポンプ阻害薬(PPI)
※アトルバスタチン(リピトールⓇ):HMG-CoA還元酵素阻害薬
※センノシド(プルゼニドⓇ):大腸刺激性下剤
問326の解答:1