問256-257(実務/薬理)
52歳女性。40歳時に気管支ぜん息と診断された。
現在、処方1~5の薬剤を服用しており、アドヒアランスは良好であるが、
ぜん息発作で頻回に入院していた。
今回、ぜん息発作のコントロール目的で入院となり、処方6が追加された。
(処方1)
アドエア500ディスカス(注1)28吸入用 1個
1 回1吸入 1日2回 朝・夕吸入
(注1) 1回サルメテロールとして50μg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして500μg
(処方2)
スピリーバ2.5μgレスピマット(注2)60吸入 1本
1回2吸入 1日1回 朝吸入
(注2)1回チオトロピウムとして2.5μg
(処方3)
テオフィリン徐放錠200mg
1回1錠(1日2錠) 1 日2回 朝食後及び就寝前
(処方4)
モンテルカスト口腔内崩壊錠10mg
1回1錠(1日1錠) 1 日1回 就寝前
(処方5)
プロカテロール塩酸塩水和物エアゾール10μg 1本
1 回2吸入 ぜん息発作時
(処方6)
オマリズマブ(遺伝子組換え)皮下注150mgシリンジ 3本
1 回450mg 11:00に皮下投与
問256(実務)
薬剤師が処方6の薬剤の投与量を監査するために確認すべき患者情報はどれか。2つ選べ。
1.体表面積
2.体重
3.投与前血清中総IgE濃度
4.投与前血清中IL-5濃度
5.投与前血中好酸球数
問256の解説
マスト細胞や好塩基球に存在するIgE受容体に、IgEが結合すると、炎症性のメディエーターが放出され、喘息や蕁麻疹が悪化します。
オマリズマブ(ゾレアⓇ)は、抗IgEモノクローナル抗体で、IgEと結合して、マスト細胞や好塩基球のIgE受容体にIgEが結合するのを防ぎます。
オマリズマブ(ゾレアⓇ)の1回あたりの投与量や投与間隔は、体重と投与前血清中総IgE濃度に基づいて、投与量換算表から決めます。
1.「×」
2.「〇」
3.「〇」
4.「×」
5.「×」
問256の解答:2と3
問257(薬理)
処方1~6のいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.トロンボキサン合成酵素を阻害することで、気管支平滑筋の収縮を抑制する。
2.アデノシンA1受容体を遮断して、気管支平滑筋の収縮を抑制する。
3.2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)におけるIL-5の産生を抑制することで、肺への好酸球浸潤を抑制する。
4.IgEに結合して、IgEが肥満細胞膜上のIgE受容体に結合するのを阻害することで、炎症性メディエーターの産生を抑制する。
5.IL-5に結合して、IL-5が好酸球の細胞膜上のIL-5受容体に結合するのを阻害することで、血中の好酸球数を減少させる。
問257の解説
1.「×」オザグレル(ドメナンⓇ)は、トロンボキサン合成酵素を阻害して、トロンボキサンA2の産生を抑制することにより、気管支平滑筋の収縮を抑制します。
2.「〇」テオフィリン(テオドールⓇ・ユニフィルⓇ・テオロングⓇ)は、ホスホジエステラーゼを阻害することによって、cAMP濃度が高まり、気管支平滑筋が弛緩するので、気管支拡張作用を示します。
また、アデノシンA1受容体を遮断し、気管支平滑筋の収縮を抑制する作用もあります。
3.「×」スプラタスト(アイピーディⓇ)は、ヘルパーT細胞(Th2細胞)からのIL-4・IL-5の産生を抑制することにより、好酸球の浸潤を抑制し、抗アレルギー作用を示します。
4.「〇」問256の解説を参照
5.「×」メポリズマブ(ヌーカラⓇ)は、抗IL-5モノクローナル抗体で、IL-5に結合して、好酸球の細胞表面に存在するIL-5受容体にIL-5が結合することを阻害することで、好酸球の増殖を抑制します。
(処方1)アドエア(サルメテロール:β2作動薬・フルチカゾン:ステロイド)
(処方2)スピリーバ(チオトロピウム:ムスカリン(M3)受容体拮抗薬)
(処方4)モンテルカスト(キプレスⓇ・シングレアⓇ):ロイコトリエン受容体拮抗薬
(処方5)プロカテロール(メプチンⓇ):β2作動薬
問257の解答:2と4