問112(生物)
甲状腺ホルモン(T3、T4)は、ヨウ素を含むアミノ酸誘導体であるが、アミノ酸から直接作られるのではない。
甲状腺濾胞における生合成過程では、タンパク質のチログロブリンが前駆物質となる。
下図は、甲状腺濾胞においてT3、T4が作られるまでに、チログロブリンが移動する流れを示したものである。
チログロブリンは、甲状腺濾胞上皮細胞で作られてからコロイド中に分泌され、再び甲状腺濾胞上皮細胞に取り込まれ、最終的にT3、T4が濾胞外に分泌される。
図中の1~5のうち、チログロブリンのヨウ素化反応が行われる場所はどれか。1つ選べ。
110-112
問112の解説
1.「×」小胞体:タンパク質や膜脂質の合成を行います。
甲状腺ホルモンの前駆物質である、チログロブリンが産生されます。
2.「×」ゴルジ体:タンパク質に糖鎖付加などの修飾を行います。
チログロブリンが修飾され輸送されます。
3.「〇」甲状腺ペルオキシダーゼの働きにより、チログロブリンのチロシン残基にヨウ素が付加され、MIT(モノヨードチロシン)やDIT(ジヨードチロシン)が産生されます。カップリングにより、T3やT4が、チログロブリン中に産生されます。
4.「×」エンドソーム:細胞内に取り込まれた物質の輸送や代謝を行います。
ヨウ素化・カップリングが終わったチログロブリンを、再び甲状腺濾胞上皮細胞に取り込みます。
5.「×」リソソーム:小胞内は、弱酸性で各種分解酵素が存在しています。
取り込まれたチログロブリンが、リソソーム内の酵素により分解され、T3やT4が遊離されます。
問112の解答:3
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