第109回 薬剤師国家試験問題 問344(ニロチニブ) | 積小為大!!  健康・社会保険・労働に関すること

第109回 薬剤師国家試験問題 問344(ニロチニブ)

実務
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問344(実務)

48歳男性。身長 174cm、体重 52kg。

慢性骨髄性白血病、高血圧、消化性潰瘍 並びに脂質異常症と診断され、

これまで処方1及び処方 2にて治療していた。

今回、イマチニブ錠にて効果不十分であったため、

ニロチニブ塩酸塩水和物カプセルに変更になり、処方 3~5の処方箋を持参し来局した。

 

【前回までの処方】

(処方1)

テルミサルタン錠40mg    1回1錠(1日1錠)

プラバスタチンNa錠10mg     1回1錠(1日1錠)

イマチニブ錠100mg    1回4錠(1日4錠)

1日1回      朝食後    14日分

 

(処方2)

ファモチジン錠20mg    1回2錠(1日2錠)

1日1回    就寝前     14日分

 

 

【今回の処方】

(処方3)

テルミサルタン錠40mg     1回1錠(1日1錠)

プラバスタチンNa錠10mg    1回1錠(1日1錠)

1日1回      朝食後      14日分

 

(処方4)

ニロチニブ塩酸塩水和物カプセル200mg    1回2カプセル(1日4カプセル)

1日2回      朝・夕食後     14日分

 

(処方5)

ファモチジン錠20mg     1回2錠(1日2錠)

1日1回    就寝前    14日分

 

 

(検査値)

血圧 125/72 mmHg、赤血球 410×104 /μL、白血球 4,600/μL、

総コレステロール 202 mg/dL、HDL-C 55 mg/dL、LDL-C 90 mg/dL、

TG 105 mg/dL

 

薬局薬剤師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

 

1.テルミサルタン錠から、アムロジピン錠への変更を提案する。

 

2.プラバスタチン錠から、シンバスタチン錠への変更を提案する。

 

3.ニロチニブ塩酸塩水和物カプセルの用法を食後2時間以降に変更を提案する。

 

4.ファモチジン錠から、エソメプラゾールカプセルへの変更を提案する。

 

5.心電図検査の実施の有無を確認する。

 

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問344の解説

慢性骨髄性白血病(CML)の原因とされる、フィラデルフィア染色体は、9番染色体に存在するABL遺伝子と、22番染色体に存在するBCR遺伝子が組み合わさりできた染色体で、BCR-ABL遺伝子が存在しています。BCR-ABL遺伝子は、白血病の細胞を増やせという命令を出します。

 

慢性骨髄性白血病(CML)で使用されるチロシンキナーゼ阻害薬

イマチニブ(グリベック):第1世代

ニロチニブ(タシグナ):第2世代

ポナチニブ(アイクルシグ):第3世代

世代が上がるに連れて、BCR-ABLチロシンキナーゼに親和性が高くなり、阻害作用が増加します。

 

1.「×」ニロチニブとテルミサルタンを併用しても問題がないので、テルミサルタンからアムロジピンへの変更を提案しなくてもよいと考えます。

テルミサルタン(ミカルディス):AT1受容体遮断薬(ARB)

アムロジピン(アムロジン・ノルバスク):Ca拮抗薬

 

 

2.「×」ニロチニブとプラバスタチンを併用しても問題がないので、プラバスタチンからシンバスタチンへの変更を提案しなくてもよいと考えます。

プラバスタチン(メバロチン):HMG-CoA還元酵素阻害薬

シンバスタチン(リポバス):HMG-CoA還元酵素阻害薬

 

 

3.「〇」ニロチニブは、食後に服用すると吸収がよくなり、血中濃度が増加することがあります。食事の影響を避けるために、食事の1時間以上前or食後2時間以降に服用します。

 

 

4.「×」ニロチニブは、塩基性薬剤なので、胃内のpHが上昇すると溶解度が低下するため、吸収が低下します。そのため、ファモチジンからエソメプラゾールへの変更は提案しません。

ファモチジン(ガスター):H2受容体拮抗薬

エソメプラゾール(ネキシウム):プロトンポンプ阻害薬(PPI)

 

 

5.「〇」ニロチニブは、QT間隔の延長がおこることがあるので、投与前・投与中に適宜、心電図検査を行います。

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