問187(病態・薬物治療)
再生不良性貧血に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.血清鉄が増加する。
2.不飽和鉄結合能が増大する。
3.小球性低色素性貧血に分類される。
4.エリスロポエチン産生が亢進する。
5.血小板数は変化しない。
問187の解説
1.「〇」血清鉄とは、血液中の鉄分のことです。
鉄欠乏性貧血では、鉄分が不足していて赤血球が産生できないので、血清鉄は低値を示します。
再生不良性貧血では、赤血球の産生が減少し、鉄の利用が減少しているので、血清鉄は高値を示します。
2.「×」鉄は血液中では、トランスフェリン(タンパク質)と結合していますが、血液中のトランスフェリンは、全部が鉄と結合していなくて、余っている状態です。
この結合していないトランスフェリンが、どれだけあるかを示すのが、不飽和鉄結合能です。
よって、鉄欠乏性貧血では、血液中の鉄が不足しているので、トランスフェリンが余っているので、不飽和鉄結合能が高値となります。
一方、再生不良性貧血では、赤血球の産生が低下しているので、血液中の鉄が増えています。
そのため、鉄と結合していないトランスフェリンの量が減っているので、不飽和鉄結合能は低値となります。
3.「×」MCV(赤血球1個あたりの平均的な大きさ)により、小球性低色素性貧血・正球性正色素性貧血・大球性正色素性貧血の3つに分類されます。
分類 | MCV | 主な疾患 |
小球性低色素性貧血 | 低値 | 鉄欠乏性貧血 |
正球性正色素性貧血 | 正常 | 再生不良性貧血・溶血性貧血・腎性貧血 |
大球性正色素性貧血 | 高値 | 巨赤芽球性貧血 |
4.「〇」再生不良性貧血では、赤血球数が低下するため、腎臓でのエリスロポエチン(赤血球の産生を促すホルモン)産生が亢進します。
5.「×」再生不良性貧血は、骨髄にある造血幹細胞が減少する疾患なので、血液細胞数(赤血球・白血球・血小板)が減少します。
問187の解答:1と4
2024.5.24時点の記事