問162(薬理)
胃・十二指腸潰瘍の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.スクラルファートは、胃潰瘍部位に結合することで、ペプシンによる自己消化から粘膜組織を保護する。
2.ラニチジンは、胃の壁細胞に存在するヒスタミンH2受容体を遮断することで、プロトンポンプの活性化を抑制する。
3.ランソプラゾールは、K+に競合してプロトンポンプを阻害することで、胃酸分泌を抑制する。
4.ミソプロストールは、プロスタグランジン合成酵素を活性化することで、胃粘膜のプロスタグランジンを増加させる。
5.オキセサゼインは、ガストリン受容体を遮断することで、胃酸分泌を抑制する。
問162の解説
1.「〇」スクラルファート(アルサルミンⓇ)は、胃・十二指腸の潰瘍部分に結合することで、保護層を形成します。また、ペプシン活性の抑制作用もあります。
2.「〇」ラニチジン(ザンタックⓇ:販売中止)は、胃壁細胞に存在するH2受容体を遮断することにより、胃酸を分泌するプロトンポンプ活性を間接的に抑制します。
3.「×」ランソプラゾール(タケプロンⓇ)は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)なので、H+,K+-ATPaseを阻害することにより、胃酸分泌を抑制します。
ボノプラザン(タケキャブⓇ)が、K+に競合してプロトンポンプを阻害することで、胃酸分泌を抑制します。
4.「×」ミソプロストール(サイトテックⓇ)は、プロスタグランジン製剤で、プロスタグランジンE受容体と結合し、胃酸分泌抑制させたり、胃の粘膜血管に作用し、血流量を維持する働きがあります。
5.「×」オキセサゼイン(ストロカインⓇ)は、胃幽門部からのガストリンの遊離を抑制することにより、胃酸分泌を抑制します。(※ガストリンは、胃の幽門部に存在するG細胞から分泌されるホルモンで、胃酸の分泌を促すホルモンです)
問162の解答:1と2