問345
75歳男性。身長165cm、体重55kg。3年前に発症した右脳梗塞の後遺症のために、左半身麻痺があり、通院にてリハビリを行っている。
ベッド上で過ごすことが多く、自力による体位変換はほとんどできず、1日3回のオムツ交換を行っている。今回、肺炎の疑いにて緊急入院となった。
入院後、褥瘡対策チームが回診を行ったところ、仙骨部に3×5 cmの褥瘡を認めた。
創面は黄色、皮下脂肪組織までの欠損があり、感染を伴う混濁した黄色の浸出液が多く認められた。そのため、 以下の処方で治療が開始されることとなった。
(入院時検査所見)
血清アルブミン2.1 g/dL、CRP 11.0mg/dL、白血球18,000/μL、
AST 24 IU/L、ALT 22 IU/L、BUN 22.9 mg/dL、
血清クレアチニン 0.9 mg/dL
(処方)
カデックスⓇ軟膏(注)100 g 1回適量
1日2回 朝夕 患部に塗布
(注) カデキソマー150、マクロゴール400、マクロゴール4000を基剤とし、1g 中にヨウ素9mgを含有する。
薬剤師から家族への説明として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
1.この薬は、浸出液が多い場合に使用します。
2.この薬は、殺菌作用により患部の回復を早めるために使用します。
3.この薬は、創面を保護するために使用します。
4.栄養状態が良くないので、十分な栄養が必要です。
5.褥瘡の重症化予防のため、定期的な体位変換が必要です。
1.「〇」設問より、カデックスⓇ軟膏は基剤がマクロゴールなので、水溶性基剤の薬。
水溶性基剤の薬は、分泌物を吸収し除去するので、浸出液が多い場合に使用します。
2.「〇」設問より、カデックスⓇ軟膏には、ヨウ素が含まれるので、殺菌作用により患部の回復を早めるために使用します。
3.「×」水溶性基剤の薬を創面の保護には使用しません。
創面の保護に用いるのは、油脂性基剤の医薬品です。
4.「〇」設問より、血清アルブミン2.1 g/dL(基準値:4.0〜5.0g/dL)とあるので、低栄養状態と推測できます。褥瘡の治癒促進には、栄養状態の改善が大切です。
5.「〇」褥瘡は骨が出た、皮膚の部分に起こりやすいので、長時間、同じ部分に圧がかからないようにします。体位を変換したりすることで、褥瘡の重症化予防ができます。