問212-213
1歳男児。体重10kg。
中等度の急性副鼻腔炎と診断され、アモキシシリン水和物散が処方されたが効果不十分と判断され、薬剤感受性を考慮し以下の処方へ変更になった。
(処方)
セフカペンピボキシル塩酸塩細粒10% 1回0.3g(1日0.9g)
1日3回 朝昼夕食後 5日分
問212(実務)
本症例において、薬剤師が留意すべき重大な副作用はどれか。1つ選べ。
1.甲状腺組織の直接的障害による甲状腺機能低下症
2.糖新生抑制による乳酸アシドーシス
3.ヒスタミン遊離によるレッドネック症候群
4.ビタミンA欠乏による視覚障害
5.血清カルニチン低下による低血糖
問212の解説
アモキシシリン(パセトシンⓇ・サワシリンⓇ・ワイドシリンⓇ):ペニシリン系抗生物質
セフカペン(フロモックスⓇ):セフェム系抗生物質
1.「×」
2.「×」
3.「×」
4.「×」
5.「〇」小児(特に乳幼児)が、ピボキシル基を持つ抗生物質を服用すると、低カルニチン血症に伴う低血糖が現れることがあります。
※ピボキシル基を持つ抗生物質:セフカペン(フロモックスⓇ)・セフジトレン(メイアクトⓇ)・セフテラム(トミロンⓇ)・テビペネム(オラペネムⓇ)
※低カルニチン血症に伴う低血糖に至る作用機序
消化管吸収を促進する目的で、ピボキシル基を結合させた抗生物質(活性本体)は、吸収されると代謝を受けて、ピバリン酸と活性本体になります。ピバリン酸は、カルニチン抱合を受け尿中へ排泄されます。
この結果、血清カルニチンが低下し、低血糖が現れると考えられています。
※カルニチン:脂肪酸のβ酸化によって、必要なエネルギーを産生したり、糖新生に必要な分子。
問212の解答:5
2024.1.14時点の記事