68歳男性。身長174cm、体重93kg。既往歴として高血圧、脂質異常症、心房細動。
薬物アレルギー歴無し。12時頃、ゴルフ中に突然倒れた。
救急隊到着時、本人から発語は見られていたが、次第に会話が困難になった。
救急搬送時(14時)、頭部MRIで左中大動脈領域に梗塞巣を認め、各種所見から心原性脳梗塞と診断された。
また大動脈解離、急性膵炎は否定され、その他、心弁膜症、臓器出血の合併は認められなかった。
(搬送時の検査値)
血圧162/102mmHg、血糖130mg/dL、
LDL-C 110mg/dL、HDL-C 60mg/dL、TG(トリグリセリド)130mg/dL、
eGFR 75mL/min/1.73m2、PT-INR 0.97、
AST 18 IU/L、ALT 19 IU/L、
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)26秒(基準値:25~32秒)、
血小板 25×104/μL
救急担当薬剤師が今後の治療について医師との共有事項として適切なのはどれか。2つ選べ。
1.ヘパリンナトリウムの静脈内投与による急性期治療
2.予後改善効果を目的とした急性期におけるエダラボン投与
3.脳浮腫が出現した場合のトルバプタン投与
4.発症早期における新たな血栓防止のための抗血小板療法の開始
5.急性期におけるDOAC(直接阻害型経口抗凝固薬)の使用
問331の解説
1.「〇」APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間):内因系凝固活性化機序を示し、ヘパリンを使い血が固まりにくくなると、長くなります
血栓性塞栓症の場合、ヘパリンを用いることがあります
2.「〇」エダラボン(ラジカットⓇ)は、フリーラジカルを消去して、脳保護作用を示します
3.「×」脳浮腫が出現したら、浸透圧性利尿薬であるマンニトールなどを用います。
トルバプタン(サムスカⓇ)は、バソプレシン(V)2受容体拮抗薬で、心不全や肝硬変による体液貯留などの治療に用います
4.「×」心原性脳梗塞症の場合は、抗凝固薬(DOAC・ワルファリン)を用います
アテローム血栓性脳梗塞の場合は、抗血小板薬を用います
5.「〇」心原性脳梗塞の再発予防として、DOACなどの抗凝固役の服用が推奨されています
問331の解答:1と2と5

