問260・261(実務/薬理)
48歳男性。2ケ月前から食欲の低下を感じ、消化器内科で精査したところ、ヘリコバクター・ピロリ陽性と診断され、一次除菌を行うこととなった。
(処方)
ボノサップパック400(注) 1シート
1日2回 朝夕食後 7日分
注: 1回分として、ボノプラザン錠20mg 1錠、アモキシシリンカプセル250mg 3カプセル、クラリスロマイシン錠200mg 1錠を服用
問260(実務)
この処方薬の服薬指導時の患者への説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.ボノプラザン錠は、服用時に噛んだり、砕いたりすると効果が減弱します。
2.よくみられる副作用として、腹痛や頻回の下痢があります。
3.味覚異常が現れることがありますが、多くの場合数日で治まります。
4.服用期間中は激しい運動を控えてください。
5.処方分の薬を飲み終えた後、すぐに除菌の判定を行います。
問260の解説
1.「×」
2.「〇」抗生物質である、アモキシシリン(サワシリンⓇ)や、クラリスロマイシン(クラリスⓇ)は、腸内細菌叢を乱すため、腹痛や頻回の下痢を起こすことがあります。
3.「〇」クラリスロマイシン(クラリスⓇ)や、ボノプラザン(タケキャブⓇ)の副作用として味覚異常が知られています。服薬終了後、数日~数週間で自然に回復することが多いです。
4.「×」
5.「×」除菌判定の時期は、除菌治療後4週間以降に実施します。
除菌判定を早期に行った場合、偽陰性(ピロリ菌数が減少しているため)となることがあるからです。
問260の解答:2と3
問261(薬理)
ヘリコバクター・ピロリの除菌療法において、ボノプラザン以外にラベプラゾールも用いられてきた。ボノプラザン又はラベプラゾールに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.ボノプラザンは、壁細胞におけるH+,K+-ATPaseの発現を抑制する。
2.ボノプラザンは、胃酸による活性化を必要としない。
3.ボノプラザンは、弱酸性であり、壁細胞内に分子形として集積する。
4.ラベプラゾールは、K+と競合して、壁細胞からのH+分泌を阻害する。
5.ラベプラゾールは、H+,K+-ATPaseとジスルフィド結合を形成する。
問261の解説
1.「×」
2.「〇」ラベプラゾール(パリエットⓇ)は、胃酸により活性化しますが、ボノプラザン(タケキャブⓇ)は、胃酸による活性化を必要とせず、壁細胞におけるH+,K+-ATPaseを阻害します。
3.「×」
4.「×」
5.「〇」プロトンポンプ阻害薬(PPI)である、ラベプラゾール(パリエットⓇ)は、胃酸により活性体となって、プロトンポンプ(H+,K+-ATPase)のSH基(システイン残基)と、ジスルフィド結合を形成して、不可逆的に胃酸分泌を阻害します。
問261の解答:2と5