問190(病態・薬物治療)
25歳男性。身長176cm、体重65kg。
20歳の時に1型糖尿病を発症し、1日4回のインスリン皮下注射と血糖自己測定によるインスリン強化療法を行ってきた。
最近の血液検査でHbA₁c値が7.3%であったためインスリン治療の変更が計画された。
(使用中の薬剤)
インスリン アスパルト(遺伝子組換え)
朝食直前10単位・昼食直前7単位・夕食直前9単位
インスリン デグルデク(遺伝子組換え)
就寝前14単位
血糖自己測定値(毎食前と毎食2時間後及び就寝前に測定)
朝食 | 前 | 100 mg/dL |
後 | 160 mg/dL | |
昼食 | 前 | 110 mg/dL |
後 | 220 mg/dL | |
夕食 | 前 | 140mg/dL |
後 | 240 mg/dL | |
就寝前 | 160 mg/dL |
インスリン注射量の変更に関して適切なのはどれか。2つ選べ。
1.朝食直前のインスリン注射量を増量する。
2.朝食直前のインスリン注射量を減量する。
3.昼食直前のインスリン注射量を増量する。
4.夕食直前のインスリン注射量を増量する。
5.就寝前のインスリン注射量を減量する。
問190の解説
正常な血糖値の範囲は、空腹時血糖値が110 mg/dL未満、食後2時間血糖値が140 mg/dL未満となっています。
インスリン アスパルト(ノボラピッドⓇ):超速効型インスリン製剤なので、インスリンを補う目的で、食事のタイミングに合わせて注射します。
インスリン デグルデク(トレシーバⓇ):持効型溶解インスリン製剤なので、インスリンの基礎分泌を補う目的で、24時間安定した効果を狙います。食事のタイミングにかかわらず、1日のうち決まった時間に注射します。
1.「×」朝食前の血糖自己測定値が、100 mg/dLなので、朝食直前のインスリン注射量を増量する必要はありません。
2.「×」朝食前の血糖自己測定値が、100 mg/dLなので、朝食直前のインスリン注射量を減量する必要もありません。
3.「〇」昼食前の血糖自己測定値が、110 mg/dLで、昼食後2時間の血糖自己測定値が、220mg/dLなので、昼食直前のインスリン注射量を増量します。
4.「〇」夕食前の血糖自己測定値が、140 mg/dLで、夕食後2時間の血糖自己測定値が、240mg/dLなので、夕食直前のインスリン注射量を増量します。
5.「×」就寝前の血糖自己測定値が、160 mg/dLなので、就寝前のインスリン注射量を減量する必要はありません。
問190の解答:3と4