40歳男性。身長172cm、体重70kg。今回、生体腎移植を受けるために入院した。
移植後の拒絶反応予防のために、以下の処方が開始された。
(処方1)
タクロリムス水和物徐放性カプセル5mg 1回2カプセル(1日2カプセル)
1日1回 朝食後 7日分
(処方2)
ミコフェノール酸モフェチルカプセル250mg 1回4カプセル(1日8カプセル)
1日2回 朝夕食後 7日分
(処方3)
メチルプレドニゾロン錠4mg 朝6錠、昼2錠(1日8錠)
1日2回 朝昼食後 7日分
服薬開始後10日目の服薬指導時、薬剤師に下痢の訴えがあった。
訴えに対する薬剤師の薬学的管理事項として、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1.口の渇き、尿量の変化を確認
2.ミコフェノール酸モフェチルの血中濃度測定依頼を提案
3.メチルプレドニゾロン錠の中止を提案
4.症状軽減のために半夏瀉心湯エキス顆粒の処方提案
5.感染症確認のために便培養依頼を提案
問326の解説
タクロリムス(グラセプターⓇ):カルシニューリン(免疫亢進に重要な酵素)を阻害することにより、サイトカイン産生抑制や免疫抑制作用を示します
1.「〇」下痢によって、脱水や電解質異常が起こる可能性があるため、口の渇き、尿量変化を確認することは適切です
2.「〇」ミコフェノール酸 モフェチル(セルセプトⓇ)は、リンパ球の増殖を抑制する薬剤ですが、副作用として、下痢があるため、血中濃度の測定依頼を提案するのは適切です
3.「×」メチルプレドニゾロン(メドロールⓇ)は、ステロイドのため、移植後の拒絶反応予防のために必要
4.「〇」半夏瀉心湯は、下痢症状を改善する効果が期待できるため、症状軽減のために処方提案するのは適切です
5.「〇」免疫抑制下では、感染性腸炎による下痢の可能性もあるため、感染の鑑別目的で便培養依頼の提案を行うのは適切です
問326の解答:3

