過敏性腸症候群治療薬に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.ポリカルボフィルカルシウムは、胃内の酸性条件下でカルシウムを脱離し、腸管腔内において膨潤・ゲル化することで、水分バランスを調節する。
2.ラモセトロンは、求心性神経終末に存在するセロトニン5-HT3受容体を遮断することで、大腸痛覚の伝達を抑制する。
3.メペンゾラートは、副交感神経のセロトニン5-HT4受容体を刺激し、アセチルコリン遊離を促進することで、腸運動を亢進する。
4.トリメブチンは、消化管運動亢進時には、アドレナリン作動性神経のオピオイドμ受容体を刺激することで、腸運動を抑制する。
5.リナクロチドは、胆汁酸トランスポーターを阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、腸管内に水分及び電解質を分泌させる。
問161の解説
1.「〇」ポリカルボフィルカルシウム(コロネルⓇ・ポリフルⓇ):過敏性腸症候群治療薬
胃酸中で、Ca²⁺を脱離しポリカルボフィルとなり、腸管腔内で膨潤・ゲル化することで、水分バランスを調節します。
2.「〇」ラモセトロン(イリボーⓇ):5-HT3受容体遮断作用
下痢型過敏性腸症候群の治療に用います。
3.「×」メペンゾラート(トランコロンⓇ):抗コリン薬(ムスカリン受容体遮断薬)
モサプリド(ガスモチンⓇ):5-HT4受容体を刺激し、アセチルコリンの遊離を促進することで、腸運動を亢進します。
4.「×」トリメブチン(セレキノンⓇ):消化管運動調律薬
消化管運動亢進時は、副交感神経にあるオピオイドμ受容体を刺激して、アセチルコリンの遊離を抑制し、消化管運動を抑制します。
消化管運動低下時は、交感神経にあるμ受容体を刺激して、ノルアドレナリン遊離を抑制し、消化管運動を亢進します。
5.「×」リナクロチド(リンゼスⓇ):グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬
腸上皮細胞で、cGMPが上昇することにより、腸管分泌が促進されるため、便秘が改善されます。
(※エロビキシバット(グーフィスⓇ):胆汁酸トランスポーター阻害薬)
問161の解答:1と2