問59(病態・薬物治療)
高ナトリウム血症の患者に禁忌である薬物はどれか。1つ選べ。
1.トルバプタン
2.エプレレノン
3.エナラプリルマレイン酸塩
4.カルベジロール
5.フロセミド
問59の解説
1.「〇」トルバプタン(サムスカⓇ): V2受容体拮抗薬
バソプレシンによる水の再吸収を集合管で阻害することにより、水利尿作用を示します。
水利尿作用(電解質排泄の増加を伴わない)のため、血液が濃縮し、脱水や高Na血症が現れることがあり、高Na血症の患者には禁忌となっています。
2.「×」エプレレノン(セララⓇ):ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(抗アルドステロン薬)
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の最終生成物であるアルドステロンが、アルドステロン受容体(ミネラロコルチコイド受容体)に結合するのを阻害するため、降圧作用を示します。
(※アルドステロンは、腎の遠位尿細管に作用してNaや水の再吸収を促進し、血圧を上昇させます)
3.「×」エナラプリル(レニベースⓇ):アンジオテンシン変換酵素阻害薬
アンジオテンシン変換酵素を阻害して、アンジオテンシンⅡ(昇圧作用)の産生を抑制することにより、降圧作用を示します。
4.「×」カルベジロール(アーチストⓇ):αβ受容体遮断薬
α1受容体遮断作用による血管拡張作用、β受容体遮断作用による心拍数低下作用を示します。
5.「×」フロセミド(ラシックスⓇ):ループ利尿薬
ヘンレ係蹄上行脚のNa+-K+-2Cl–共輸送体を阻害して、Na+の再吸収を抑制することにより、利尿作用を示します。
問59の解答:1
2024.4.12時点の記事