問334(実務)
58歳女性。
2ケ月前に全身性エリテマトーデスによるループス腎炎と診断され、薬物治療を継続中である。
以下の処方箋並びに検査結果を持って薬局を訪れた。
(処方1)
プレドニゾロン錠5mg 1回 2錠( 1日 4錠)
1日2回 朝夕食後 14日分
(処方2)
ランソプラゾール口腔内崩壊錠15mg 1回 1錠(1日1錠)
エルデカルシトールカプセル 0.75μg 1回 1カプセル( 1日1カプセル)
アトルバスタチン錠2.5mg 1回 1錠(1日 1錠)
1日1回 朝食後 14日分
(処方3)
ニカルジピン塩酸塩錠10mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 14日分
(処方4)
リセドロン酸Na水和物錠17.5mg 1回1錠(1日1錠)
毎週日曜日 1日1回 起床時 2日分
(検査値)
血清アルブミン 4.0g/dL、AST 10 IU/L、ALT 15 IU/L、
LDH 125 U/L、 血清クレアチニン 0.57 mg/dL、eGFR 86.3 mL/min/1.73m2、
LDL-C 88 mg/dL、HDL-C 52 mg/dL、TG(トリグリセリド)105 mg/dL、
CK(クレアチンキナーゼ)30 U/L、K 2.8 mEq/L、
Ca 8.4 mg/L、CRP 0.42 mg/dL、HbA1c 6.5%、
血圧 132/84 mmHg、赤褐色尿(-)
患者から体調について、最近、手足のだるさやこわばり症状があることを聴取した。
また、吐き気や下痢症状はないことを確認した。
薬剤師は副作用を疑い、処方医に疑義照会したところ、対策案を依頼された。
提案する事項として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.ニカルジピンの中止
2.アトルバスタチンの中止
3.アゾセミドの追加
4.塩化カリウムの追加
5.スピロノラクトンの追加
問334の解説
ループス腎炎は、全身性エリテマトーデス(SLE)に起因する免疫複合体が、腎臓の糸球体に沈着し、尿潜血・尿タンパクが陽性となる腎疾患です。
プレドニゾロン(プレドニンⓇ):ステロイド
ステロイドには、尿細管でのK排泄促進作用あります。
ランソプラゾール(タケプロンⓇ):PPI(プロトンポンプインヒビター)
エルデカルシトール(エディロールⓇ):活性型ビタミンD3製剤
リセドロン(ベネットⓇ・アクトネルⓇ):ビスホスホネート製剤
1.「×」ニカルジピン(ペルジピンⓇ):Ca拮抗薬
検査値の血圧 132/84 mmHgより、中止する必要はありません。
2.「×」アトルバスタチン(リピトールⓇ):HMG-CoA還元酵素阻害薬
検査値のLDL-C 88 mg/dL・CK30 U/L・赤褐色尿(-)より、中止する必要はありません。
3.「×」アゾセミド(ダイアートⓇ):ループ系利尿薬
ループ系利尿薬は、Na+-K+-2Cl―共輸送体を阻害するので、Na+とK+の再吸収が抑制され、Kの排泄が増加します。
検査値のK 2.8 mEq/L(基準値:3.5〜5.0mEq/L)より、アゾセミドの追加は提案しません。
4.「〇」塩化カリウム
検査値のK 2.8 mEq/Lより、KCLの追加を提案します。
KCL製剤と、エプレレノン(セララⓇ)・エサキセレノン(ミネブロⓇ)は、併用禁忌の場合が多いので注意が必要です。
5.「〇」スピロノラクトン(アルダクトンⓇ):K保持性利尿薬(アルドステロン拮抗薬)
検査値のK 2.8 mEq/L・血圧 132/84 mmHgより、K保持性利尿薬の追加を提案します。
低K血症では、筋力低下・筋肉の痙攣・手足のだるさ・こわばり・不整脈などの症状がみられます。
問334の解答:4と5