第109回 薬剤師国家試験問題 問260-261(糖尿病治療薬) | 積小為大!!  健康・社会保険・労働に関すること

第109回 薬剤師国家試験問題 問260-261(糖尿病治療薬)

薬理・実務
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58歳男性。身長165cm、体重85kg。

2年前より2型糖尿病と診断され、以下の内服治療を行ってきた。

 

(処方1)

シタグリプチンリン酸塩錠100mg     1回1錠 (1日1錠)

1日1回 朝食後 28日分

 

(処方2)

ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物錠10mg   1回1錠(1日1錠)

1日1回 朝食後 28日分

 

(処方3)

メトホルミン塩酸塩錠500mg   1回1錠(1日3錠)

1日3回 朝昼夕食後 28日分

 

今回患者がかかりつけ薬局に処方箋を持参した際、薬局薬剤師は、

処方1~処方3が、処方2~処方4に変更されていることを確認した。

 

(処方4)

セマグルチド(遺伝子組換え)皮下注2mg  1キット

週に1回0.25mg   皮下注射

 

薬局薬剤師が患者に確認したところ、患者からは「医師から血糖コントロールが不十分と言われた。低血糖の症状はない。ただどうしても食事の量を減らすことができない。体重がまた少し増えた。」との情報が得られた。

問260(実務)

薬局薬剤師から患者への服薬指導として、適切なのはどれか。2つ選べ。

 

1.処方4のお薬は処方1のお薬を週1回にした注射薬です。

 

2.処方1のお薬から処方4のお薬に変更しても、低血糖には十分に注意してください。

 

3.処方4のお薬は処方2のお薬と同じように、利尿作用があるので脱水に注意してください。

 

4.処方4のお薬は注射の前後で血糖自己測定を忘れずに行ってください。

 

5.処方4のお薬は週1回同じ曜日に注射してください。

 

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問260の解説

シタグリプチン(グラクティブ・ジャヌビア):DPP-4阻害薬

インスリン分泌を促すインクレチン(GLP-1など)は、食後増えますが、DPP-4(酵素)により、すぐに分解されてしまいます。DPP-4阻害薬は、インクレチンの作用を増強するので、血糖降下作用があります。

 

ダパグリフロジン(フォシーガ):SGLT2阻害薬

腎臓の尿細管に存在する、ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)2を阻害することにより、尿中へグルコースの排泄を促進します。

 

メトホルミン(メトグルコ):ビグアナイド系経口血糖降下薬

肝臓において糖新生を抑制するので、血糖降下作用を示します。

 

セマグルチド(オゼンピック):GLP-1受容体作動薬

GLP-1アナログ(類似)製剤なので、DPP-4による分解を受けにくく、インスリン分泌を促進させ血糖降下作用を示します。(※セマグルチドの経口剤にリベルサスがあります。)

 

1.「×」処方1の薬は、シタグリプチン:DPP-4阻害薬

処方4の薬は、セマグルチド:GLP-1受容体作動薬

 

 

2.「〇」処方1の薬(シタグリプチン)も、処方4の薬(セマグルチド)も血糖降下作用があるので、SU剤などに比べれば、低血糖のリスクは低いですが、注意しなければなりません。

 

 

3.「×」処方2の薬は、ダパグリフロジン(フォシーガ)なのでSGLT2阻害薬です。

SGLT2阻害薬は、尿中へグルコースの排泄を促進させるため、血糖降下作用を示します。また、尿中へグルコースを排泄するために、尿浸透圧が上昇して、尿量が増えるので、脱水に注意しなければなりません。

処方4の薬(セマグルチド)は、GLP-1受容体作動薬なので、利尿作用はありません。

 

 

4.「×」処方4の薬(セマグルチド)は、GLP-1受容体作動薬なので、インスリン製剤に比べて、低血糖をおこしにくいです。そのため、定期的に血糖値の検査をする必要はありますが、注射の前後で血糖自己測定を必ず行う必要はないです。

 

 

5.「〇」処方4のセマグルチド(オゼンピック)は、週1回投与する注射で、同一曜日に注射する必要があります。

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問261(薬理)

処方1~4のいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1.α-グルコシダーゼを阻害して、小腸からのグルコース吸収を抑制する。

 

2.尿細管からのグルコース再吸収を抑制して、グルコース排泄を増加させる。

 

3.AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を阻害して、肝臓での糖新生を抑制する。

 

4.グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を刺激して、グルコースによるインスリン分泌を促進する。

 

5.アルドース還元酵素を阻害して、神経細胞内のソルビトール蓄積を抑制する。

 

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問261の解説

1.「×」α-グルコシダーゼ阻害薬に関する記述です。

 

 

2.「〇」処方2のダパグリフロジン(フォシーガ)に関する記述です。

 

 

3.「×」メトホルミン(メトグルコ)などのビグアナイド系経口血糖降下薬は、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化して、肝臓での糖新生を抑制します。

 

 

4.「〇」処方4のセマグルチド(オゼンピック)に関する記述です。

 

 

5.「×」エパルレスタット(キネダック)に関する記述です。

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