問254-255(実務/薬理)
70歳男性。身長165cm、体重50kg。
1年前に心筋梗塞を起こし、心室細動による心停止で救命救急センターに搬送され、心蘇生術を施し心機能が回復した。
その後、意識消失発作を起こしたため、半年前に埋め込み型除細動器(ICD)(注) と以下の処方で治療を開始した。
(注)体に埋め込んで、致死的な不整脈を自動的に感知し、電気ショックを与えて心臓の動きを正常にもどす医療機器
(処方)
バイアスピリン錠100mg 1回1錠(1日1錠)
クロピドグレル錠75mg 1回1錠(1日1錠)
ビソプロロールフマル酸塩錠2.5mg 1回1錠(1日1錠)
カンデサルタン錠4mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 28日分
しかし、その後もICDが作動することがあり、
医師は心室性不整脈予防のための追加薬を検討している。
問254(実務)
追加する薬物として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1.一硝酸イソソルビド
2.キニジン
3.イソプレナリン
4.アミオダロン
5.ジルチアゼム
問254の解説
バイアスピリン:抗血小板薬
クロピドグレル(プラビックスⓇ):抗血小板薬
ビソプロロール(メインテートⓇ):β1受容体遮断薬
カンデサルタン(ブロプレスⓇ):ARB
選択肢の中から、心室性不整脈(心室細動)の治療薬を選びます。
1.「×」一硝酸イソソルビド(アイトロールⓇ):硝酸薬の1種で、血管拡張作用があるので、狭心症治療に用います。
2.「×」キニジン:Vaughan-Williams分類では、第Ⅰa群(Naチャネル遮断)に分類される、抗不整脈薬で、心房細動・心房粗動などの治療に用います。
3.「×」イソプレナリン(プロタノールⓇ):β作動薬で、心収縮力増強・心拍数増加作用があるので、高度の徐脈治療などに用いられます。
4.「〇」アミオダロン(アンカロンⓇ):Vaughan-Williams分類では、第Ⅲ群(Kチャネル遮断)に分類され、再発性不整脈などに用いられる抗不整脈薬です。
Kチャネル遮断作用により活動電位持続時間・不応期を延長させるので、心室細動などに用います。
また、Naチャネル遮断作用・Caチャネル遮断作用・抗アドレナリン作用もあります。
5.「×」ジルチアゼム(ヘルベッサーⓇ):Ca拮抗薬で、冠血管や末梢血管を拡張するため、狭心症や高血圧治療に用います。
問254の解答:4
問255(薬理)
前問で追加する薬物が有する作用機序はどれか。2つ選べ。
1.可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化する。
2.アデノシンA1受容体を刺激する。
3.アセチルコリンM2受容体を遮断する。
4.L型Ca2+チャネルを遮断する。
5.K+チャネルを遮断する。
問255の解説
1.「×」
2.「×」
3.「×」
4.「〇」上記、問254の4を参照
5.「〇」上記、問254の4を参照
問255の解答:4と5