問232-233(衛生/実務)
乳児(生後1ケ月、女児)を連れた母親が、女児の1ケ月検診を受けた後に、女児が服用している薬について相談したいことがあるということで、かかりつけ薬局に来局した。
女児の出生時の体重は2,940gであり、母乳栄養で現在は3,890gである。
女児は、メナテトレノンシロップ1mLを哺乳確立時、生後1週目(産科退院時)、今回と合計3回内服している。
母親は、女児へのメナテトレノン投与の理由について薬剤師に質問をした。
問232(実務)
薬剤師が母親へ行った説明内容として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1.くる病の発症リスクを軽減するため。
2.黄疸等の肝障害リスクを軽減するため。
3.頭蓋内出血等の出血リスクを軽減するため。
4.神経管閉鎖障害のリスクを軽減するため。
5.アレルギーの発症リスクを軽減するため。
問232の解説
1.「×」くる病(骨軟化症)は、CaやPが不足し、骨が軟らかくなる疾患です。
2.「×」
3.「〇」メナテトレノン(ケイツーⓇ:ビタミンK2製剤)は、VK2欠乏性出血の予防に用いられます。
4.「×」母体の葉酸が不足するとおこりやすくなる神経管閉鎖障害は、脳や脊髄のもとになる神経管の形成不全により、無脳症や二分脊椎などの先天異常がおこることをいいます。
5.「×」
問232の解答:3
問233(衛生)
薬剤師は母親にメナテトレノン投与によって、あるビタミンを補充できることを説明した。
このビタミンが新生児や幼若乳児で不足する理由として、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1.胎盤を通過しにくいため。
2.母乳中の含有量が少ないため。
3.胆汁分泌が低下している場合には、吸収されにくいため。
4.新生児や乳児は代謝及び排泄が亢進しているため。
5.新生児と乳児は、腸内細菌叢が未発達であるため。
問233の解説
1.「〇」出生直後に、VKが不足する理由として、VKは胎盤を通過しにくいこと、腸内細菌叢が未熟なため体内で産生しにくいこと、母乳だけでは不足しがちな栄養素であることが挙げられます。
2.「〇」母乳で不足しがちな栄養素として、VD・VK・鉄分が挙げられます。
3.「〇」脂溶性ビタミンであるVKは、胆汁酸や膵液と混ざって、小腸上部から吸収されるため、胆汁分泌が低下していると、VK不足になりやすくなります。
4.「×」
5.「〇」出生直後の腸内細菌叢は未熟なため、VK産生腸内細菌が少ないと、VK不足になりやすくなります。
問233の解答:4