問222・223(生物・実務)
65歳女性。高血圧症、骨粗しょう症、慢性便秘症及び脂質異常症の治療でかかりつけ薬局を利用し、処方1及び処方2の薬剤を2年間服用している。
さらに、脂質異常症については食事療法の効果が不十分で、処方3を2ケ月前に開始した。
(処方1)
アムロジピン錠5mg 1回1錠(1日1錠)
エルデカルシトールカプセル0.75μg 1回1カプセル(1日1カプセル)
1日1回 朝食後 14日分
(処方2)
酸化マグネシウム錠330mg 1回1錠(1日2錠)
オメガ-3脂肪酸エチル粒状カプセル2g 1回1包(1日2包)
1日2回 朝夕食後 14日分
(処方3)
フェノフィブラート錠53.3mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 14日分
処方3開始直前の空腹時検査値: LDL-C 126mg/dL、HDL-C 58mg/dL、TG(トリグリセリド)198mg/dL
昨夜から全身の筋肉痛が生じているため、一般用医薬品の痛み止めを求めて来局した。
昨日は、日課としている約2kmの散歩しかしておらず、普段はその程度の運動で筋肉痛は起こらないと言う。
また、胃が弱いので内服ではなく、テレビコマーシャルで見たロキソプロフェン含有テープ剤の購入を希望している。
問222(実務)
かかりつけ薬剤師のこの患者への対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
1.処方3の薬剤の服用継続を指導する。
2.最近の尿の色を確認する。
3.体のだるさの有無を確認する。
4.ロキソプロフェン含有テープ剤を使用して様子をみるように勧める。
5.補中益気湯の服用を勧める。
問222の解説
1.「×」
2.「〇」フェノフィブラートを服用していて、普段はその程度の運動で筋肉痛は起こらないのに、全身の筋肉痛があると記載されているので、横紋筋融解症を疑います。
横紋筋融解症は、骨格筋の細胞が壊死することで、筋肉痛・四肢の脱力・赤褐色尿・急性腎不全などの症状がみられます。
3.「〇」筋肉が破壊されることによって、筋肉中のミオグロビン・クレアチンキナーゼ(筋肉収縮に関与する酵素)・カリウムなどが血液中に放出されます。放出された大量のミオグロビン(酸素の貯蔵体)が、尿細管を閉塞させ、急性腎不全をおこしたり、赤褐色尿の原因となります。
4.「×」ロキソプロフェン(ロキソニンⓇ):非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
5.「×」補中益気湯:虚弱体質などに用いられます。
アムロジピン(アムロジンⓇ・ノルバスクⓇ):Ca拮抗薬
エルデカルシトール(エディロールⓇ):活性型ビタミンD3
酸化マグネシウム(マグミットⓇ):塩類下剤
オメガ-3脂肪酸(ロトリガⓇ):EPA・DHA製剤
フェノフィブラート(リピディルⓇ・トライコアⓇ):PPAR-α作動薬(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor:ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体)
問222の解答:2と3
問223(生物)
この患者の筋肉の状態を知るために血液検査をする場合、注目すべき生体成分はどれか。2つ選べ。
1.クレアチンキナーゼ
2.ビリルビン
3.乳酸デヒドロゲナーゼ
4.ヘモグロビン
5.尿酸
問223の解説
1.「〇」問222の3を参照
2.「×」
3.「〇」乳酸脱水素酵素(LDH)は、様々な細胞に存在し、糖質をエネルギーに変える酵素で、臓器が破壊されると血中に漏れ出し、数値が上がります。
4.「×」
5.「×」
問223の解答: 1と3