問330
76歳男性。2週間後に食道がんの全摘出手術を施行予定である。
この患者は、3年前に、せん妄を発症した経験があるため、担当医は入院中のせん妄発症リスクが高いと考えている。
外来受診時に、当該患者より担当医に「1週間前から、夜眠れない日が続いており、疲れがたまっています。」との訴えがあった。
担当医は、せん妄発症リスクの低い睡眠薬の処方を検討している。
当該患者は、これまで睡眠薬及び抗不安薬を服薬していないことを確認している。
担当医から病棟担当薬剤師に、この件について処方薬の相談があった。
薬剤師が提案すべき薬物として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.ラメルテオン
2.ゾルピデム酒石酸塩
3.ブロチゾラム
4.スボレキサント
5.リルマザホン塩酸塩水和物
問330の解説
せん妄とは、見当識(時間、場所などの認識力)・思考力・注意力が低下し、妄想や幻覚をみるようになり、過度に興奮し錯乱状態となったり、逆に活動量が低下し眠った状態になったり、行動や睡眠リズムに異常をきたすことをいいます。
せん妄を起こしやすい薬剤として、睡眠・抗不安薬(GABAA受容体作動薬・ベンゾジアゼピン系薬・非ベンゾジアゼピン系薬)・麻薬性鎮痛薬(オピオイド)などがあります。
1.「〇」ラメルテオン(ロゼレムⓇ):メラトニン受容体アゴニスト
2.「×」ゾルピデム(マイスリーⓇ):非ベンゾジアゼピン系:ω1(BZD1)受容体作動薬
3.「×」ブロチゾラム(レンドルミンⓇ):ベンゾジアゼピン系
4.「〇」スボレキサント(ベルソムラⓇ):オレキシン受容体拮抗薬
5.「×」リルマザホン(リスミーⓇ):ベンゾジアゼピン系
2023.10.8時点の記事