問178
医薬品の水溶液中における安定性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.加水分解を受けやすい医薬品は、難溶性の塩として溶解度を低下させることで安定性が改善する。
2.EDTAは、包接化により医薬品の安定性を改善する。
3.特殊酸触媒のみで分解する医薬品は、保存するpHを低くすることで安定性が改善する。
4.異符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、塩を添加することで溶液のイオン強度を増大させると安定性が改善する。
5.同符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、アルコールを添加することで溶媒の誘電率を低下させると安定性が低下する。
1.「〇」加水分解されやすい医薬品を、難溶性の塩にすると、溶解度が下がります。
溶解度が下がると、医薬品が溶け残るので、医薬品と水が接触する面積が減ります。
医薬品と水が接触する面積が減ると、医薬品が加水分解されず、医薬品の安定性が改善します。
2.「×」EDTAは、キレート化により医薬品の安定性を改善します。
シクロデキストリンは、包接化により医薬品の安定性を改善します。
3.「×」特殊酸(H+)触媒のみで分解する医薬品は、特殊酸(H+)が存在すると分解してしまう医薬品のことなので、保存するpHを高くすることで安定性が改善します。
4.「〇」logk = logk0 + 1.02×ZA×ZB×√I より
異符号間のイオン反応と、イオン強度を増大させると、k は減少する。
(例:ZA:+ ZB:- I:+)
k(反応速度定数)が減少すると、医薬品は分解されにくくなるので安定性が改善。
(k:反応速度定数・ZA:Aのイオン電荷数・ZB:Bのイオン電荷数・I:イオン強度とする)
5.「×」logk = logk∞ - K×ZA×ZB×1/ε より
同符号間イオン間の反応と、誘電率(ε)を低下させると、k は減少する。
k(反応速度定数)が減少すると、医薬品は分解されにくくなるので安定性が改善。
(k:反応速度定数・K:定数・ZA:Aのイオン電荷数・ZB:Bのイオン電荷数・ε:誘電率とする)