問172
薬物の腎排泄に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.パラアミノ馬尿酸の腎クリアランスは血中濃度に比例する。
2.サリチル酸の腎クリアランスは、アスコルビン酸の併用により増大する。
3.グルコースは、尿中にほとんど排泄されない。
4.ゲンタマイシンの血中半減期は、糸球体ろ過速度の低下により長くなる。
5.メトホルミンの腎クリアランスは、クレアチニンクリアランスより小さい。
1.「×」パラアミノ馬尿酸の腎クリアランスは、血中濃度が増加すると低下します。
パラアミノ馬尿酸は、糸球体ろ過と尿細管分泌で尿中に排泄されます。
パラアミノ馬尿酸の尿細管分泌は、有機アニオントランスポーターによって行われるので、パラアミノ馬尿酸の血中濃度が増加すると、有機アニオントランスポーターが飽和して腎クリアランスが低下します。
2.「×」腎クリアランス量=糸球体ろ過量+尿細管分泌量-尿細管再吸収量と考えると
アスコルビン酸によって、尿pHが下がります。尿pHが下がると、尿細管でサリチル酸は分子型の割合が増加します。分子型が増えると、尿細管再吸収量が増加します。
よって、サリチル酸の腎クリアランスは、アスコルビン酸の併用により減少します。
3.「〇」正常の血糖値では、グルコースは尿細管で再吸収されるため、尿中に排泄されません。ただし、糖尿病などの高血糖状態で、再吸収しきれないときは、尿中に排泄されます。
4.「〇」ゲンタマイシン(ゲンタシンⓇ)は、アミノグリコシド系抗生物質で、腎排泄型の薬剤です。そのため、ゲンタマイシンの血中半減期は、糸球体ろ過速度の低下により長くなります。
5.「×」クレアチニンは、筋肉で産生され、糸球体ろ過され、尿細管での再吸収は無く少量分泌される程度の物質のため、クレアチニンクリアランス≒糸球体ろ過クリアランスと考えます。
メトホルミンは、糸球体ろ過+尿細管分泌(有機カチオントランスポーター)により尿中に排泄されるため、メトホルミンの腎クリアランスは、クレアチニンクリアランスより大きくなります。