問262・263(実務/薬理)
65歳男性。2型糖尿病のため処方1~3にて治療していた。
(処方1)
メトホルミン塩酸塩錠250mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 28日分
(処方2)
グリメピリド錠1mg 1回1錠(1日2錠)
1日2回 朝夕食後 28日分
(処方3)
シタグリプチンリン酸塩錠50mg 1回1錠(1日1錠)
ダパグリフロジン錠5mg 1回1錠(1日1錠)
エナラプリルマレイン酸塩錠5mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 28日分
最近、血糖コントロールが不良であることから、今回、処方3が処方4へ変更となり、処方1、2及び4が記載された処方箋を持ってかかりつけ薬局を訪れた。
(処方4)
セマグルチド(遺伝子組換え)錠7mg 1回1錠(1日1錠)
ダパグリフロジン錠5mg 1回1錠(1日1錠)
エナラプリルマレイン酸塩錠5mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 28日分
問262(実務)
処方変更に関して、医師に疑義照会すべき内容はどれか。2つ選べ。
1.セマグルチドの投与剤形
2.セマグルチド錠の服用タイミング
3.セマグルチド錠の開始用量
4.セマグルチド錠とグリメピリド錠の併用禁忌
5.セマグルチド錠とダパグリフロジン錠の併用禁忌
問262の解説
1.「×」
2.「〇」セマグルチド(リベルサスⓇ)は、胃内容物により吸収が低下するため、最初の食事又は飲水の前に、120mL以下の水で服薬し、服用後少なくとも30分は、飲食を避けます。
3.「〇」セマグルチド(リベルサスⓇ)は、1日1回3mgから開始し、4週間以上投与した後、1日1回7mgに増量します。(維持量)4週間以上投与した後、効果不十分な場合には、1日1回14mgに増量することができます。
4.「×」
5.「×」
問262の解答:2と3
問263(薬理)
処方1~4のいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体を刺激して、膵臓からのインスリン及びグルカゴン分泌を促進する。
2.ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)を阻害して、小腸から分泌されるインクレチンの分解を抑制する。
3.アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害して、血中でのアンジオテンシンⅠの生成を抑制する。
4.ミトコンドリア呼吸鎖複合体Ⅰを阻害して、血糖値依存的なインスリン分泌を促進する。
5.AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化して、肝臓での糖新生を抑制する。
問263の解説
グリメピリド(アマリールⓇ):スルホニルウレア(SU)剤
ダパグリフロジン(フォシーガⓇ):SGLT2阻害薬
1.「×」セマグルチド(リベルサスⓇ):GLP-1受容体作動薬
グルコース濃度依存的にインスリンを分泌させ、グルカゴン分泌を抑制します。
2.「〇」シタグリプチン(ジャヌビアⓇ・グラクティブⓇ):DPP-4阻害薬に関する記述です。
3.「×」エナラプリル(レニベースⓇ):アンジオテンシン変換酵素阻害薬
アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害して、血中でのアンジオテンシンⅡの生成を抑制します。
4.「×」イメグリミン(ツイミーグⓇ)に関する記述です。
5.「〇」メトホルミン(メトグルコⓇ):ビグアナイド系に関する記述です。
問263の解答:2と5