問174
薬物動態の非線形性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.薬物代謝が非線形性を示す場合、全身クリアランスは投与量の増加に伴い変化する。
2.血漿タンパク結合に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。
3.肝臓の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の分布容積は増加する。
4.小腸上皮細胞の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは低下する。
5.尿細管分泌を担う担体輸送に飽和が生じた場合、薬物の尿細管分泌クリアランスは低下する。
薬物が非線形性を示す場合は、以下のパターンが考えられます。
①肝臓での薬物代謝が飽和
②血漿タンパク結合が飽和
③薬物の移行が飽和(尿細管の分泌・再吸収など)
1.「〇」薬物代謝が非線形性を示す場合、全身クリアランスは投与量の増加に伴い変化します。
例えば、
肝臓での薬物代謝が飽和した場合では、全身クリアランスは低下
血漿タンパク結合が飽和した場合では、薬物の遊離型が増えるので、全身クリアランスは増加
尿細管分泌が飽和した場合では、全身クリアランスは低下
2.「×」血漿タンパク結合に飽和が生じた場合、薬物の全身クリアランスは増加します。
3.「×」分布容積(Vd)は、血中濃度と同じ薬物濃度で、体内に存在するとしたら、どの程度の容積になるかを示したものなので、肝臓の代謝に飽和が生じても、薬物が消失しにくくなるだけなので、分布容積は変わらないと考えられます。
4.「〇」小腸上皮細胞の薬物代謝酵素に飽和が生じた場合、薬物が初回通過効果を回避する量が増えるので、血中へ移行する薬物量が増えますが、肝臓での代謝や腎排泄などが飽和していないのなら、全身クリアランスは、変化しないと考えられます。
5.「×」尿細管分泌の担体輸送が飽和した場合、薬物の尿細管分泌クリアランスは低下します。