27歳女性。身長159cm、体重50kg。この患者の母親が、処方箋を持って薬局を訪れた。
この患者は、2年前から、双極性障害と診断され、処方1の薬剤による治療を継続中である。
お薬手帳及び薬剤服用歴を確認したところ、今回から処方2の薬剤が追加されている。
患者の母親と面談したところ、「最近、娘は夜眠らずに活動する日もあり、早口で話すことも多くなった。」とのことであった。
(臨床所見及び検査値)
血圧118/76mmHg、AST 16 IU/L、ALT 12 IU/L、
HDL-C 83mg/dL、LDL-C 112mg/dL、TG(トリグリセリド)104mg/dL、
空腹時血糖 106mg/dL、HbA1c 5.2%、
血清クレアチニン 0.74mg/dL、血中リチウム濃度 0.8mEq/L、口渇(-)
(処方1)
炭酸リチウム錠200mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 7日分
(処方2)
オランザピン錠10mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 夕食後 7日分
薬剤師がこの患者の母親へ指導した内容についてSOAP形式で薬剤服用歴管理記録簿に記載した。(S)、(O)、(A)、(P)の項目と対応する記載内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.S:過量投与による中毒を予防するために、継続して血中リチウム濃度の数値や変化を確認すること。
2.O:「最近、娘は夜眠らずに活動する日もあり、早口で話すことも多くなった。」との患者の母親から聞きとった情報。
3.O:次回来局時に、血糖値上昇や体重増加などの副作用発現の有無を確認すること。
4.A:臨床所見及び検査値の結果を確認し、処方2の薬剤の服用開始が可能であると判断したこと。
5.P:処方2の薬剤により体重増加のおそれがあるため、娘に食事等に注意し適度な運動を心掛けるように伝えてもらうこと。
問341の解説
1.「×」S:主観
過量投与による中毒を予防するために、継続して血中リチウム濃度の数値や変化を確認することは、Pに記載します。
2.「×」O:客観
母親から聞きとった情報は、Sに記載します。
3.「×」O:客観
次回来局時に、血糖値上昇や体重増加などの副作用発現の有無を確認することは、Pに記載します。
4.「〇」A:評価
臨床所見及び検査値の結果を確認し、HbA1c 5.2%であったため、オランザピンの服用が可能であると判断したことは、評価事項として適切です。
5.「〇」P:計画
オランザピン(ジプレキサⓇ):多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)
オランザピンの副作用で、体重増加のおそれがあるため、娘に食事に注意し適度な運動を心掛けるように伝えてもらうことは、次回確認事項として適切です。
問341の解答:4と5
