第110回 薬剤師国家試験問題 問226-227(HPV) | 積小為大!!  健康・社会保険・労働に関すること

第110回 薬剤師国家試験問題 問226-227(HPV)

生物・実務
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34歳女性。この女性の12歳の娘に市からヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種についてのお知らせが届いた。娘はHPVワクチンの接種歴がない。

この女性はHPVワクチンの説明を聞くため、市から送られた下の成分表を含む資料を持って娘と一緒にかかりつけ薬局に来局した。

そのHPVワクチンの成分、投与方法、そして免疫応答を高める成分(アジュバント)が入っていることなどを、下の成分表を確認しながら薬剤師が説明した。

 

 

HPVワクチンの成分表

HPVワクチンの成分 分量
薬効成分 ヒトパピローマウイルス16型L1タンパク質ウイルス様粒子 20μg
ヒトパピローマウイルス18型L1タンパク質ウイルス様粒子 20μg
添加物A 3-脱アシル化-4′-モノホスホリルリピッドA(リポ多糖誘導体) 50μg
添加物B 水酸化アルミニウム懸濁液(アルミニウムとして) 500μg
その他の添加物 塩化ナトリウム(等張化剤)、リン酸二水素ナトリウム(緩衝剤)、添加物pH調節剤

 

問226(実務)

このワクチンに関する説明として正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1.これは弱毒生ワクチンです。

 

2.子宮頸がんを予防するものです。

 

3.筋肉注射で接種します。

 

4.接種は1回で完了します。

 

5.HPV(16型/18型)感染後に接種しても、がんを予防する効果があります。

 

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問226の解説

1.「×」HPVワクチンは、不活化ワクチンです。

 

 

2.「〇」HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となる、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐ、予防接種です。

 

 

3.「〇」HPVワクチンは、筋肉注射です。

 

 

4.「×」HPVワクチンは、合計2回または3回接種します。

接種するワクチンや年齢によって、接種のタイミングや回数が異なります。

設問のHPVワクチンは、サーバリックスなので、3回接種です。

 

 

5.「×」設問のHPVワクチンで産生される抗体は、HPV(16型/18型)が、細胞内に侵入する前に中和する抗体のため、HPV(16型/18型)感染後に接種しても、がん予防の効果は期待できません。

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問227(生物)

このワクチンに含まれる添加物に関する記述として、誤っているのはどれか。 1つ選べ。

 

1.添加物Aは、細菌由来成分の誘導体である。

 

2.添加物Aと添加物Bは、ともにアジュバントである。

 

3.添加物Bは、抗原を吸着し、投与部位での抗原の滞留時間を延ばす。

 

4.添加物Aは、抗原提示細胞の抗原提示機能を促進する。

 

5.添加物Aと添加物Bは、ともに自然免疫応答を抑制し、獲得免疫応答を促進する。

 

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問227の解説

1.「〇」3-脱アシル化-4′-モノホスホリルリピッドA(リポ多糖誘導体)は、グラム陰性菌由来のリポ多糖で、非毒性型誘導体です。

 

 

2.「〇」添加物A(3-脱アシル化-4′-モノホスホリルリピッドA)と、添加物B(水酸化アルミニウム懸濁液)は、ともに、アジュバント(抗原と一緒に投与することにより、免疫応答を高める物質)です。

 

 

3.「〇」添加物B(水酸化アルミニウム懸濁液)の働きとして、抗原を吸着し、投与部位での抗原の滞留時間を延ばすことが知られています。

 

 

4.「〇」添加物A(3-脱アシル化-4′-モノホスホリルリピッドA)は、TLR4(Toll様受容体4)を刺激し、樹状細胞やマクロファージを活性化し、抗原提示機能を促進します。

 

 

5.「×」添加物Aと添加物Bは、ともに自然免疫応答を活性化し、獲得免疫応答を促進します。

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