問274-275(薬剤/実務)
34歳既婚女性。高血圧症、逆流性食道炎治療中。
かかりつけ薬局の薬剤師がいつもの薬をお渡しする際に副作用の発現状況などを確認していると、患者は半年前に結婚し、そろそろ子供が欲しいと思うようになったとのことであったが、患者背景については、薬歴が更新されていなかった。
(処方1)病院循環器内科
エナラプリルマレイン酸塩錠10mg 1回1錠(1日1錠)
ランソプラゾール口腔内崩壊錠15mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 28日分
センノシド錠12mg 1回2錠
便秘時 夜に服用
問274(薬剤)
処方薬に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1.エナラプリルは、消化管吸収の改善を目的としたプロドラッグである。
2.エナラプリルは、エステル部分の加水分解により代謝活性化される。
3.ランソプラゾールは、主にCYP2C19又はCYP3A4で代謝される。
4.ランソプラゾールは、苦味の軽減を目的としたプロドラッグである。
5.センノシドは、腸内細菌による代謝物が腸の蠕動運動を促進する。
問274の解説
1.「〇」エナラプリル(レニベースⓇ):アンジオテンシン変換酵素阻害薬
エナラプリルは、脂溶性の増大により、消化管吸収を改善した、プロドラッグです。
2.「〇」エナラプリルは、生体内のエステラーゼにより、エステル部分が加水分解されて、活性代謝物となります。
3.「〇」ランソプラゾール(タケプロンⓇ):プロトンポンプ阻害薬
ランソプラゾールは、主にCYP2C19又はCYP3A4で代謝されます。
4.「×」ランソプラゾールは、胃粘膜の壁細胞に対して、選択的移行性を改善したプロドラッグです。
5.「〇」センノシド(プルゼニドⓇ):緩下剤
センノシドは、大腸の腸内細菌により代謝され、活性代謝物であるレインアンスロンが、大腸を刺激し、蠕動運動を亢進させ、緩下作用を示します。
問274の解答:4
問275(実務)
今後の薬物療法にあたり、妊娠の可能性があるこの患者に説明しておく情報はどれか。2つ選べ。
1.血圧コントロールのため、生活習慣や食習慣に気をつける。
2.現在服用中の血圧の薬は妊娠中でも服用可能である。
3.妊娠がわかったら、すぐに連絡してもらう。
4.逆流性食道炎の治療薬を市販の六君子湯などの漢方薬に変更する。
5.下剤は、一般用医薬品であれば、妊娠中でも服用可能である。
問275の解説
1.「〇」血圧コントロールには、生活習慣や食習慣に気をつけることが大切です。
2.「×」現在服用中の血圧の薬であるエナラプリルは、妊婦に禁忌です。
3.「〇」妊娠中の服薬は、考慮事項が増えるため、妊娠がわかったら、すぐに連絡してもらうことは大切です。
4.「×」逆流性食道炎の治療薬であるランソプラゾールを、市販の六君子湯などの漢方薬に変更することは、適切ではありません。
5.「×」一般用医薬品の下剤であれば、妊娠中でも服用可能であるとは、言い切れません。
問275の解答:1と3