問224・225(生物・実務)
3歳5ケ月女児。
台所で沸かしていたやかんのお湯をかぶり、体表の熱傷(Ⅱ度)で救急搬送された。
入院14日目に39℃の発熱を認め、熱傷創部からセフェム系抗菌薬に感受性のある【A】が同定されたため、セフタジジムを2週間投与し、症状が改善したため終了した。
抗菌薬終了7日後に、再び38℃の発熱及び熱傷創部に膿を認めた。
膿を検査したところ、【A】が同定された。
検出された【A】の薬剤感受性試験及び患者の血液検査の結果は、以下のとおりである。
(薬剤感受性試験の結果)
抗菌薬 | MIC(μg/mL) | 判定 |
ピペラシリン | ≦2 | Susceptible(感性) |
タゾバクタム・ピペラシリン | ≦2 | Susceptible(感性) |
セフタジジム | >16 | Resistant(耐性) |
メロペネム | ≦0.25 | Susceptible(感性) |
シプロフロキサシン | ≦0.25 | Susceptible(感性) |
アミカシン | 2 | Susceptible(感性) |
(検査値)
血清アルブミン 4.2g/dL、CRP 8.0mg/dL、白血球 17,600/μL、AST 24IU/L、ALT 11IU/L、血清クレアチニン 0.24mg/dL、BUN 10mg/dL
なお、この患者はアモキシシリン水和物に対するアレルギー歴がある。
問224(生物)
Aに該当する細菌に関しては、培養検査等により以下の情報が得られている。Aはどれか。1つ選べ。
「好気条件で増殖する。グラム陰性菌である。鞭毛を有する。芽胞は形成しない。色素ピオシアニンを産生する。バイオフィルムを形成する。」
1.リステリア菌
2.緑膿菌
3.淋菌
4.黄色ブドウ球菌
5.破傷風菌
問224の解説
1.「×」リステリア菌は、グラム陽性菌です。芽胞は形成しません。
2.「〇」緑膿菌は、好気性のグラム陰性菌です。鞭毛を有し、芽胞は形成しません。
緑色の色素であるピオシアニン(細胞毒性)を産生します。
バイオフィルムを形成するので、薬剤に抵抗性を示します。
3.「×」淋菌は、好気性のグラム陰性菌です。鞭毛は無く、芽胞は形成しません。
4.「×」黄色ブドウ球菌は、グラム陽性菌です。
5.「×」破傷風菌は、グラム陽性菌で、芽胞を形成します。土の中にいて、嫌気性菌です。
(※芽胞を形成することができる細菌は、全てグラム陽性菌です。)
問224の解答:2
問225(生物)
この患者の検査結果を受けて、医師と感染制御チーム(ICT)の薬剤師が協議した。
薬剤師が医師に提案する抗菌薬として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.シプロフロキサシン
2.メロペネム
3.アミカシン
4.セフタジジム
5.タゾバクタム・ピペラシリン
問225の解説
1.「×」シプロフロキサシン(シプロキサンⓇ):ニューキノロン系抗菌薬
シプロフロキサシンは、小児に禁忌(関節毒性)のため、医師に提案するのは不適です。
2.「〇」メロペネム(メロペンⓇ):カルバペネム系抗生物質
緑膿菌に有効な抗菌薬として、ニューキノロン系・カルバペネム系・アミノグリコシド系があります。
3.「〇」アミカシン:アミノグリコシド系抗生物質
4.「×」セフタジジム:セフェム系抗生物質
薬剤感受性試験の結果より、セフタジジムに耐性があるため、医師に提案するのは不適です。
5.「×」タゾバクタム・ピペラシリン(ゾシンⓇ):β-ラクタマーゼ阻害剤配合のペニシリン系抗生物質
アモキシシリン(サワシリンⓇ:ペニシリン系抗生剤)にアレルギー歴があるので、タゾバクタム・ピペラシリンを医師に提案するのは不適です。
(※タゾバクタム:β-ラクタマーゼ阻害剤・ピペラシリン(ペントシリンⓇ):ペニシリン系抗生物質)
問225の解答: 2と3